こんにちは

今回書いていくのは、法科大学院生や予備試験受験生の間で評価の高い『憲法の地図』大島義則著についてです。

結構メジャーなので持っている人も多い参考書だと思います

『憲法の地図』は気になっていたけどまだ持っていない、という人はぜひこの記事を参考にしていただけたらと思います。

 『憲法の地図』 大島義則著 法律文化社


今回は『憲法の地図』大島義則著 法律文化社を紹介していきます。

憲法の地図: 条文と判例から学ぶ

大島 義則 法律文化社 2016-04-27
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by ヨメレバ

著者は弁護士の大島義則氏です。

『憲法の地図』の評価と特徴


著者の大島義則さんはとても評判が高い『憲法ガール Remake Edition』の著者でもあるので、司法試験受験業界の中ではちょっとした有名人であったりします。

『憲法ガール』は司法試験憲法問題の解説書として非常に人気ですが、『憲法の地図』も法科大学院生や予備試験受験生に好評の憲法参考書となっています。
ちなみに、『憲法ガール』の続編『憲法ガールII 』が発売予定なので気になる人はチェックしておきましょう

さて、『憲法の地図』についてですが、特徴としては基本的人権だけを取り扱っていて、判例を中心に構成されている点です。

全体の構成としては表現の自由や生存権など個々の人権ごとにパート分けされています。

そして、それぞれの人権パートの中で、基本事項の解説→判例マップ→判例の引用という流れで進んでいきます。

解説は全体的にコンパクトで最小限に抑えてあります。

論点も網羅的・包括的に取り扱っているわけではないので、がっつり勉強したい人には物足りないかもしれません。

憲法の理解を深めるというものではなく、憲法人権知識の確認用として有益な参考書だと思います。

判例マップについては、それぞれの判例でどの論点が問題となったのかをマップ化したものなので、判例の立ち位置がすぐに確認できるのがポイントです。

本書のタイトル『憲法の地図』というのはこのように本書が憲法の位置付けを明らかにしている点からつけられたのだと思われます。

判例マップは「目次」とは異なりイメージ的に整理できるのが良いところです。

判例の引用については、薬事法違憲判決など非常に重要な判例がかなり長めに引用されているのが特徴的で、判例学習としても役にたちます。

引用判旨には見出しが付いているので読みやすくなるよう工夫されています。

本書はあくまで知識に整理に役立つ参考書なので、憲法を深く網羅的に学びたい人は『憲法学読本 第2版』などの基本書や『憲法 解釈論の応用と展開 (法セミ LAW CLASS シリーズ )』などの参考書を読むほうがいいと思います。

本書は司法試験や予備試験受験のために、憲法の基本的事項がまとめられた短時間で読書可能な参考書を求めている人に向いています

司法試験等の資格試験受験生は憲法の情報を整理するために本書を利用するといいでしょう。

『憲法の地図』の良いところ


判例を中心とした構成
本書の構成はすごく見やすいものになっています。人権ごとに主要判例が引用され、その判例の立ち位置がわかるように「地図」が書かれています。判例ごとに各人権のうちどの文脈で重要になるのかが分かりやすく位置付けされているので、判例知識の整理にはとても向いています。判例の引用も比較的長めになされていて、それぞれの引用で表題として論点名を記載しているので、その判例における争点が確認しやすい構成になっています。

まとめ形式、コンパクトなので使いやすい
本書はかなり使い勝手のいい構成になっています。人権分野ごとに簡単な解説と判例マップ、判例の引用という流れになっているので、自分が確認したい事項がどこに記載されているのかすぐに把握できます。本書で基本事項を勉強して『憲法』や判例集でがっつり勉強するのもアリ、試験前の知識の確認用としての使用もアリ、本書を片手に問題を解くのもアリ。本書は使い方に幅があるのでとても使いやすいです。

薄くて持ち運びに困らない
本書の売りはコンパクトにまとめていて、しかも統治分野等の論文試験ではそれほど問題とならない論点についてはバッサリとカットしているため、172ページで本文が全て終わってしまうという点にあります。法律の参考書としては珍しいくらい薄くて軽いので、本書に書き込みや付箋にメモをして貼り付けるという方法で補充しておけば、情報の一元化ができて試験前に本書を見返すだけでよくなります。試験会場に持っていける本の数は限られているので、本書を憲法のまとめノートとして自分好みにアレンジすると便利です。

『憲法の地図』のイマイチなところ


統治分野については記載なし
本書で扱っているのは人権分野の主要論点と判例です。統治分野や総論分野については一切触れられていません。短答問題では統治からも出題はありますし、予備試験でも統治分野から出題されたことはあります。なので、本書1冊で試験対策をすることはできないところがマイナスな点です。しかし、憲法の論文試験では基本的に人権分野からの出題が多いので、短答知識については『司法試験&予備試験短答過去問パーフェクト〈1〉公法系憲法〈平成29年版〉』や『肢別本〈1〉公法系憲法〈平成29年度版〉』などの短答問題集で対応して、本書は人権分野の判例知識を整理するという使い方がいいと思われます。

答案の書き方や短答知識は学べない
憲法の地図は判例と基本的な学説をまとめたものなので最小限の解説しかされていません。論点等も網羅的に取り扱っているわけではないです。なので具体的に答案を書く場面や短答問題を解く場面を想定すると本書では不十分であると言わざるを得ないでしょう。あくまで憲法人権の試験で必要となる知識をコンパクトにまとめているという構成なので、試験前などの確認用としての使用がおすすめです。

深みのある議論は記載されていない
本書は基本的な事項をまとめているのであり、基本書や論文に記述されるような深みのある議論は省かれています。なので、憲法を学問的に学びたい人には向いていません。資格試験のための参考書としては有用なものですから、合格のための最低限の知識を勉強するだけでいいという人の方が本書に満足できると思います

こんな人におすすめ

・憲法中級者
・コンパクトな憲法参考書が欲しい人
・憲法人権分野のまとめ本を探している人
・判例を中心に解説している参考書を求めている人

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