こんにちは

今回は『ひとりで学ぶ会社法』について、評価と特徴などを書評としてまとめていきたいと思います。

『ひとりで学ぶ会社法』は、会社法の条文になれることができる初学者〜中級者向けの問題集、という感じです。 

あまり会社法が得意ではないけど、なんとかして力をつけたいと思っているような方にお勧めできる一冊なので、ぜひこの記事を参考にしていただけたら嬉しいです。

『ひとりで学ぶ会社法』 有斐閣出版

今回紹介していくのは有斐閣から出版されている『ひとりで学ぶ会社法』です!!

ひとりで学ぶ会社法

久保 大作,森 まどか,榊 素寛,松中 学 有斐閣 2018-04-19
売り上げランキング : 53794
by ヨメレバ

著者が久保大作教授、森まどか教授、榊素寛教授、松中学教授の4人による共著です。

『ひとりで学ぶ会社法』の評価と特徴

『ひとりで学ぶ会社法』は問題集というよりも参考書に近い演習書

教科書で学んだ知識を、設問を通して、一つ一つ丁寧に確認していくというような感じです。
例えば「株主平等原則の定義と根拠を述べよ。」という問題とか発起設立の手続きを順番に選ばせる問題とかです。

このように、本書の扱う内容は難易度的にはそれほど難しい問題が載っているわけではないですが、例えば指名委員会等設置会社や社債や振替株式など、普通に会社法を勉強していると手薄になるようなものまでカバーしてあるのですごく細かい。

(受験的には)マイナーなものも扱っているし、いろんな制度の手続きなどの条文を細かく聞いてくるので、教科書を片手に参照しながらじゃないとなかなか厳しいかもしれません。

ちなみに、本書と一緒に教科書を使うのであれば、『会社法 第4版 (LEGAL QUEST)』のページ数が参照として挙げられているので、『会社法 第4版 (LEGAL QUEST)』を併用した方が良いです。

また、判例についても解説で触れられてはいるのだが、判例の引用は短く判旨を詳述したり説明することはないので、『会社法判例百選 第3版 (別冊ジュリスト 229)』などの判例集を合わせて用いるのが良いです。

特に序盤は会社法の基礎知識について、とにかく条文を引かせることによって、知識の定着を図ろうとする作りになっています。

会社法の特徴としても条文の重要性があるので、条文知識を身につけたり条文操作に慣れることはできるのは良い点です。

ただ、会社法を学び始めたばかりの人には、かなり苦痛な作業になるかと思います。
(特に指名委員会等設置会社や監査役など)

それだけに、しっかりと条文を確認しながら最後の問題まで消化することができると会社法の知識はかなり身につくのではないかと思います。

基本的には初学者から中級者向けの問題集(参考書)ではありますが、前述の通り初学者は読むのが苦痛で会社法が嫌いになる危険性がある(?)ものだと思いますので、ある程度会社法の勉強に慣れた後に利用するのが良いかなぁという感じです。

ただ、最後まで消化できればかなり会社法の力が付くのは間違いないと思います。

『ひとりで学ぶ会社法』は問題をガッツリ解いていくようなものではありません。

むしろ、短めの質問を通じて、会社法の基礎知識だったり条文知識を押さえるというものです。


解説は基本的にはかなり薄いというかコンパクトにまとめられています

基本的な判例だったり条文を紹介することで終始するものも多く、学説の対立を深く解説するということもあまりないです。

ただ、条文をとにかくたくさん確認させるような作りになっているため、条文知識はかなり強化できる1冊です。

「会社法は条文だ」 と言うメッセージが伝わってくるような演習書です。

『ひとりで学ぶ会社法』の良いところ


細かい条文を一から問われるので条文知識が身につく

本書ではとにかく条文を引かせられることになるので、本書をやりきると会社法の条文操作にかなり慣れることができます
会社法は法律科目の中でも条文が長くて読みづらいし、細かい手続きも非常に重要になるので、条文を読めるかどうかだけでも大きく力の差が出ます。
その点で、会社法は法律科目の中で特に条文が大切になる科目だと思います。
なので、条文を一から参照していくというのがとても重要なのですが、本書でしっかりと条文を確認しながら設問を解いていくと、かなり会社法の条文にも慣れることができます。


設問を通して、会社法の基礎知識を一つずつ積み重ねられる

本書は題名の通り、「ひとりで学ぶ」という感覚が強い1冊です。
設問で問われたことを、条文と教科書を参照しながら学んでいくという流れで知識の習得を図れます。
イメージ的には、質問に答えながら授業を受けているような感じでしょうか。
自分で考える」というよりも「自分で条文を調べる」というように読むことになると思います。
難しい問題を解きたいという方よりも、会社法の基本的な知識をまずは確認したいという方に向いていると思います。
その意味では、『事例で考える会社法 第2版 (法学教室ライブラリィ)』などの難しい問題集や司法試験・予備試験の過去問を解いていく前提として、基礎知識をある程度マスターするための参考書として非常に使えるのではないでしょうか。


手薄になりがちな分野もカバーできる

司法試験や予備試験などを意識して作られた予備校本や問題集は、どうしても試験で頻出の重要論点が中心に構成されてしまい、マイナーな分野についてはそもそも扱っていないこともしばしばあります。
それに対して、本書はここまで何度も書いてきた通り、社債などのマイナーな分野についても触れられています。
教科書で扱うようなテーマを一通り網羅している感じで、それぞれの手続きや制度趣旨などの基礎知識が設問を通じて確認されます。
試験的には重要ではないかもしれませんが、全く知らないというのは危険なので、本書を通じて条文や基礎知識の確認をするだけでも有益ではないかと思います。 


『ひとりで学ぶ会社法』のイマイチなところ


問題演習には向いていない

本書は一応事例が設定されている問題もあるのですが、基本的には短い設問を通して一つずつ条文を確認するという使い方になるので、問題をガッツリ解いていくというものではありません
問題演習のためであれば『事例研究 会社法』や『事例で考える会社法 第2版 (法学教室ライブラリィ)』を使用して答案を作成したりするのが良いでしょう。
本書は問題を解いて答案を書くという利用方法には向いていません
むしろ、参考書のように自分の知識を補充したり、確認するために使うものとなると思います。


解説が薄いので他の教材で知識を補完する必要がある

本書はほとんどの問題で解説が2〜4ページ程度に収められています。
もちろん、そこまで難しい問題を出しているわけではないので、基本的にはそれでも十分なのかなぁとは思うのですが、例えば「〇〇条を読んで構造を押さえること」というような条文を示すだけの解説部分もあります。
判例の引用も少なく、学説の対立についてもそれほど深く解説はされません。
全体的に解説が端的に済ませられているといった感じなので、適宜教科書を参照しながら知識の補完をする必要があるかと思います。


こんな人におすすめ

・会社法の条文操作に不安を抱えている人
・会社法の各制度の手続きなどを設問を通じて確認したいという人
・会社法の基礎をマスターしたい人
・初学者〜中級者

ひとりで学ぶ会社法

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