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今回は『合格(うか)る判例〈1〉行政法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)』の評価と特徴をまとめて書評を書いていきたいと思います。

行政法の判例集としては、『ケースブック行政法 <第6版> (弘文堂ケースブックシリーズ)』や『行政判例百選I 第7版 (別冊ジュリスト 235)』や『行政判例ノート 第3版』が定番のところですが、『合格る判例(うかる判例)行政法』はそれらの判例集とは一味違った構成なので、合わせて使用することがお勧めできます。

予備校出版の試験向き判例集に興味がある方の参考になれば幸いです。

なお、過去の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ぜひご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜


『合格る判例(うかる判例)行政法』 辰巳法律研究所


今回紹介するのは辰巳法律研究所から出版されている『合格(うか)る判例〈1〉行政法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)』です!!

合格(うか)る判例〈1〉行政法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)

辰已法律研究所 辰已法律研究所 2017-04-01
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『合格る判例(うかる判例)行政法』の評価と特徴

『合格る判例(うかる判例)』シリーズは以下の4種類が出版されています。

合格(うか)る判例〈1〉行政法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)
合格(うか)る判例〈2〉商法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)
合格(うか)る判例〈3〉民訴
合格(うか)る判例〈4〉刑訴

今回紹介するのはその内の一つ『合格る判例(うかる判例)行政法』です。 

『合格る判例(うかる判例)行政法』の構成は他のものと同様、「最重要判例」と「重要判例」の2部構成

「最重要判例」は19判例
「重要判例」は40判例
合計59判例が厳選のうえ収録されています。

本書の内容は、
 
「最重要判例」については、争点➡︎事案➡︎判旨➡︎判例のポイント➡︎判例の射程(関連判例)➡︎参考論証例
「重要判例」については、争点➡︎事案➡︎判旨➡︎判例のポイント
 
という流れになっています。

最重要判例のパートについては、基本的に、各重要論点ごとに1判例が選出されています。

例えば、行政法の超重要論点である処分性、原告適格、訴えの利益についても、それぞれ1判例が選ばれて解説されています。

それに対して、重要判例のパートについては、特に重要論点の判例が重点的に選出されています。

上記の処分性、原告適格、訴えの利益で言うと、処分性は9判例、原告適格は4判例、訴えの利益は2判例。

その他、国家賠償関連の判例が6判例、というように重要判例のパートでは、論点の重要性に応じて判例の数に偏りが作られています。

試験的に考えると、判例の数が厳選されている上に、重要論点に比重が置かれているため、短期間で行政法の重要論点を総ざらいできる判例集としてかなり有益です。

解説については、かなりポイントを押さえてコンパクトに説明されています。

特に、最重要判例では、判例の射程までも考察されていて、必要に応じて関連判例も付けられていますので、判例の意義を考えながら学習をすることができます。

また、参考論証では、判旨が答案の形にまとめられているので、司法試験や予備試験などの法律系資格の論述問題をイメージしながら判例学習を進められます。

このように、『合格る判例行政法』は、予備校本らしく、かなり試験対策を意識して作られた構造になっているわけです。

また、『合格る判例行政法』では、判例によっては判旨が非常に長く引用されていることがあります。

例えば、要件裁量と裁量権の判例(最判平11.7.19)は4ページほど、空港の使用と差し止めに関する判例(最大昭和56.12.16)は3ページほどが判旨に割かれています。

行政判例百選I 第7版 (別冊ジュリスト 235)』では紙幅の制約からどうしても判旨が短めになりがちですが、『合格る判例行政法』では、判例の必要度に応じて判旨を長く引用したり短く引用したりしているので、学習のメリハリ付けに役立ちます。

『合格る判例(うかる判例)行政法』の良いところ

行政法の重要論点に関する判例を短時間で確認できる

行政法の判例集だと、『行政判例百選I 第7版 (別冊ジュリスト 235)』や『ケースブック行政法 <第6版> (弘文堂ケースブックシリーズ)』を使用する人が多いと思います。
しかし、『判例百選』は1と2に分かれているようにとにかく判例の数が多すぎて消化するのに時間がかかります
また、『ケースブック行政法 <第6版> (弘文堂ケースブックシリーズ)』は判旨が長く引用されているのは良いのですが、かなりボリューミーなのと解説が全然ないので自力で判例学習をすることになる点がネックです。
なので、それらに比べると、『合格る判例行政法』の方が試験向きの判例集だと言えますし、特に短時間で消化できるところが優れています。
行政法の判例をじっくり学習するなら『行政判例百選I 第7版 (別冊ジュリスト 235)』や『ケースブック行政法 <第6版> (弘文堂ケースブックシリーズ)』でも良いですが、それに加えて軽めの判例集があると便利なので、『合格る判例行政法』も合わせて使用するのは非常におすすめできます。


判例の射程を意識した判例学習ができる

本書の大きな特徴として、最重要判例だけではありますが、判例の射程についての解説が記載されている点があります。
判例の射程はなかなか学習するのが難しいところではありますが、司法試験では判例をただ聞くだけのみならず、判例を射程まで考えさせる問題が出題されることもあります。
なので、判例の射程を考察している本書は、その点で他の判例集よりも優れています
ただ、判例の射程の解説は最重要判例19判例のみにしか記載されていないので、その他の重要判例については他の書籍等を利用して学習する必要があるのが少し残念なところ。

『合格る判例(うかる判例)行政法』のイマイチなところ


初学者が使用するには解説不足な面がある

本書では判例の解説がかなりコンパクトにまとめられています。
すでに行政法を学習したことのある方であれば問題はありませんが、全く学習したことのない初学者にとっては解説不足感は否めません
なので、初学者の方は本書を使用する前にまずは『基本行政法 第3版』や『行政法 第5版』などの基本書を使用して、行政法の基礎知識を一通り学習することをお勧めします
その上で、『判例百選』や『ケースブック行政法 <第6版> (弘文堂ケースブックシリーズ)』などの判例集と合わせて本書を利用すると良いかと思います。


短答試験の対策はできない

試験対策向きの判例集であるとはいえ、掲載判例数が59判例と判例の多い行政法の中でもかなり厳選されているため、短答試験をカバーできるものではありません
あくまで、論文試験のために判例をチェックするという使用方法が良いと思います。
短答試験まで考えるのであれば、掲載判例数の多い『判例百選』を使用した方が良いでしょう。


じっくりと判例学習をするのには向いていない

本書はボリュームが薄くなっているだけあって、解説も簡潔ですし判例の数も少ないです。
なので、行政法の重要論点についてじっくりと判例学習をすることには向いていません
それをするのであれば、『ケースブック行政法 <第6版> (弘文堂ケースブックシリーズ)』の方が事案も詳細に記載されていますし、判旨の掲載もかなり長めになっているので、じっくりと考えることに向いています。
本書はあくまで試験に向けて時間がないという方のため、短時間で重要判例をおさらいするのに適した判例集です。

『合格る判例(うかる判例)行政法』はこんな人におすすめ

・行政法を一通り学習済みの人
・判例百選やケースブック行政法の他に軽めの判例集が欲しい人
・行政法重要判例の射程について学習したい人
・予備校出版の判例集を使いたい人

合格(うか)る判例〈1〉行政法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)

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