どもども

今日は刑法総論で学ぶ因果関係について学習したいと思います。

まず、初学者の方のために軽く説明をすると、犯罪が成立するためには構成要件に該当する行為を行わなければなりません。

構成要件とは、犯罪が成立するために必要となる条件のことを指します。 

例えば、


刑法 第199条(殺人罪)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。 


このように、殺人罪の条文を読むとわかるのですが、ここでは「人」を「殺した」ことによって初めて死刑等の刑罰が課せられることとなります。

つまり、対象は「人」でないとダメですし、行為は「殺すこと」なのです。

こんなことは条文を読めば分かります。なぜなら、どのような処罰を犯罪として処罰するのかは条文に書かなければならないという大原則が存在するからなのです。

さてさて、今回学ぶ因果関係はどこにでてくるのかというと、「殺した」と言えるのか否かという点で問題となるのです。

つまり、ある行為(例えばナイフで人を刺す)を行なったところ、人が死んだ場合、本当にその行為によって死亡結果が生じたのかという点を確認しなければならないのです。

例えばこんな事案を考えてみましょう。

AがBを軽く殴ったところ、Bが怪我をしたので救急車で運ばれました。なんと運ばれている途中で救急車が事故を起こしてしまい、Bさんは不幸にも死亡してしまいました。

このようなケースでAが殴ったせいでBの死亡が発生したと言えるのか。

もちろん殴ったAは責められるべきなのですが、冗談で軽く殴っただけで殺してしまうような強い行為ではなかった場合にAさんが殴ったからBが死んだとは言えないのではないかということが問題となるのです。

そこで、このような場合には、確かに、Aが殴るという行為を行なったが、死亡の原因はむしろ救急車が事故を起こしたことにあるのだから、AにBの死亡の責任を認めず、殴って怪我をさせたことだけ責任を認めることとなるのです。

これが因果関係の問題です。

ある結果が生じた際に、それを行為に還元できるのか、それとも他の要因に帰責させるべきなのかという問題ののです。

まぁ簡単にいうと、その結果が行為者の責任と言えるのかどうかということです。

ではでは、因果関係の簡単な説明を終えたところで、早速具体的な内容を考えていきたいと思います。

ある行為をして結果が生じたときに、その行為の責任と言えるかという、因果関係の問題をどのように考えるべきなのか、具体的な判断基準はどうするべきなのかという点をはっきりさせなければなりません。

因果関係の判断基準については、いろんな説の対立がかつてはあったのですが、最近はもうある見解が支配的になりました。実際の事例や試験もその見解で解決することができます。

なので、ここでは現在通説と言われている立場のみを説明します。

現在、因果関係は、行為の持つ危険性が結果に現実化したか否かをみて、結果に現実化した場合には因果関係を認め、そうでなければ否定するという判断で解決されています。

具体的にいうと、ナイフで刺すという行為の場合、それが死亡という結果を発生させる危険性を持っていたのか、実際にその危険が現実に起きてしまったのか、ということを検討するのです。

これがいわゆる、危険の現実化、という考え方です。

とりあえず今日はこれだけ覚えてください。

因果関係の存否は行為の有する危険が結果へと現実化したか否かによって判断する。

ただ、これだけを覚えても仕方がないので、もっと具体的な事例を通じて因果関係を理解したいと思います。

次回は、危険の現実化説の具体的な説明と過去の判例を検討したいと思います。
また、判例検討を通じて危険の現実化説を使って事例を解く際にどのようなことを考えなければならないのか示したいと思います。

今日は入り口のみの説明でしたが次回はもっと深く解説したいと思いますので、是非次回の投稿も読んでください。

それでは。