書評(行政法)

【書評】『基本行政法 第3版』〜行政法の試験対策向けのおすすめ基本書〜

(この記事はプロモーションを含みます。)

こんにちは

今回は、私がおすすめする行政法の基本書、『基本行政法』について書いていきたいと思います。

行政法の基本書の中でもかなり評価・評判が高いものなので、行政法の基本書に悩んでいる方は是非参考にしてみてください。

なお、過去の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜

Contents

『基本行政法 第3版』中原茂樹 日本評論社

今回紹介するのは、日本評論社から出版されている『基本行政法 第3版』です。

中原茂樹 日本評論社 2018年03月23日
売り上げランキング : 106388

by ヨメレバ

著者は東大法学部出身で現在は東北大学法科大学院教授の中原茂樹さんです。

基本シリーズの本ということですが、基本シリーズはそれぞれ特徴があって統一されている感じではないので基本行政法だけ買うのもありです。
関連記事:【書評】おすすめな刑法の基本書〜『基本刑法I―総論』『基本刑法II—各論』〜
     【書評】『基本憲法I基本的人権』〜憲法事例問題を解くための基本書〜

『基本行政法 第3版』の特徴

行政法の定番基本書といえば『行政法 第5版』、通称サクハシ

 

ですが、最近法科大学院生や予備試験受験生の中で人気になっているのが本書、『基本行政法』

 

本書のおすすめポイントは試験頻出論点や基本論点についての解説が詳細かつ分かりやすいところです。

 

しかも、判例の考え方を中心に解説しているので、基本書によくありがちな細かい学説がたくさん出てきて訳が分からなくなるという状態にならないというのが良いですね。

 

事例が豊富で、各項目ごとに設問という形で事例問題が用意されており、論点や基本事項の解説をしつつ設問の答えも示していくので、事例問題に対する考え方や思考方法も身につけることができます

 

図解が豊富に示されているので、ビジュアル的にも理解を容易にする構造になっているのも良い点ですね。

 

判例はたくさん引用、参照されているのですが、個々の判例について詳細に解説しているわけではありません。

あくまで基礎知識についての解説の補足として判例の必要部分について触れているというような感じです。

『基本行政法 第3版』の良い点

特徴とも重複する部分はありますが、『基本行政法』の良い点についてまとめたいと思います。

分かりやすい解説と図解

判例の事案を図解で説明していたり、ポイントをコンパクトに解説しているのがとても良い点です。他の基本書とも比べてかなりコンパクトに説明していますし、重要論点は詳細に解説、細かい知識はさらっと説明というようにメリハリがついているので読むのがそこまで辛くないのが良いです。

事例問題の解き方が学べる

設例と解説を通して事例問題へのアプローチのコツを学ぶことができます。また重要論点部分の解説については判例がたくさん引用されているので、それらの判例の比較を通して事例問題でどういうことに着目すれば良いのかということを身につけることができます

試験対策用の基本書としてぴったり

事例問題の解き方が学べる、試験で頻出の重要論点について詳細に解説しているというところから、行政法の試験対策用の基本書としては一番おすすめの本だと言えます。試験用の基本書を探している人は『基本行政法』を購入しておけば間違い無いでしょう。

『基本行政法 第3版』のイマイチな点

分厚くて量が多い

『基本行政法』は分厚いので通読するのはかなり忍耐力が必要となるかもしれません。ただ、分厚さの割には解説もしっかりとまとめられているし、文字が大きめで以外にサクサク読み進められるので、他の基本書と比べると通読するのは楽だと思います。でも、持ち運びには向いていませんね(笑)

判例の引用は多いけど限定的

引用判例自体は多いのですが、判例の引用は重要部分に留められているので、ケースブック行政法や判例ノートなどの判例集を使って判例知識を補充する必要があります。特に、行政法は読まなければならない判例が多い科目なので『基本行政法』だけでなく判例集は必須になります。『基本行政法』を使うなら、参照判例にケースブックの事例番号が書かれているので、ケースブック行政法がおすすめです。

『基本行政法 第3版』の使い方について

『基本行政法』は通読しても良いと思いますが、かなり辛いと思いますので問題を解きながら必要な時だけ辞書的に参照するという使い方がおすすめです。

ただ、重要論点部分(処分生、原告適格、行政手続きなど)についてだけはしっかりと読み込んでおくと、問題演習に取り組む際に楽になります。

事例設問は用意されているものの、これだけだとやはり具体的事案を解いていくには不十分なので、『事例研究行政法』や『基礎演習行政法』などの問題集や司法試験、予備試験の過去問などを使って、事例問題への慣れを養う必要があります。
関連記事:【書評】『基礎演習行政法』〜行政法初学者が基礎を固めるためにおすすめな演習書〜

基本的な知識部分については『基本行政法』を読むだけでも十分なので、問題集や過去問からは行政法の知識の具体的事例への当てはめ方を学ぶのが良いと思います。

『基本行政法』 + 判例集1冊 + 事例研究行政法or過去問

という組み合わせで試験対策としては必要十分です。

短答知識に関しても、『基本行政法』 + 短答問題集 で十分対応可能です。

 

こんな人におすすめ

・行政法を本格的に勉強していこうと思っている人

・法科大学院に進学予定の人

 

・司法試験・予備試験を受験予定の人

 

・ゴリゴリの基本書が苦手な人

・事例問題をイメージしながら勉強したい人

その他の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜

おすすめ記事

法科大学院生が持っておくべき定番基本書・参考書・問題集等まとめ