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強制わいせつ罪の判例変更いよいよか!?性的意図の要否について判例

(この記事はプロモーションを含みます。)

こんにちは

今日はニュースを見ていてついにきたかというネタがありました。

それは強制わいせつ罪の要件として性的意図が必要かどうかという点に関する事件についての記事です。

そこで、今日はこの点について、今回のケースや過去の判例等について書いていきたいと思います。

この論点については過去に詳しく説明した記事があるので呼んでいただければ分かると思います。
⇨ 【刑法】強制わいせつ罪における性的意図〜判例変更あるか!?

この記事でも指摘した通りなのですが、軽く確認すると判例は以下のとおり、強制わいせつ罪の成立のためには性的意図が必要であるとしています。

【最決昭45.1.29】
(事案)
被告人が個人的な恨みから、その報復として被害者を裸にしてその姿を写真で撮影した
(判旨)
「 刑法一七六条前段のいわゆる強制わいせつ罪が成立するためには、その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し、婦女を脅迫し裸にして撮影する行為であつても、これが専らその婦女に報復し、または、これを侮辱し、虐待する目的に出たときは、強要罪その他の罪を構成するのは格別、強制わいせつの罪は成立しないものというべきである」


つまり、性的な欲求に基づいて、それを満たすためにわいせつ行為をしたと言える必要があるということです。

そして、このような判断に対してかなりの批判がされてきたのです。

批判の内容としては

・強制わいせつ罪において保護されるべきなのは被害者の性的自由であるが、性的意図の有無は行為者側の事情であって被害者の性的自由が侵害されたか否かとは全く関係ないことである。 
・条文上、性的意図は要求されておらず、それにもかかわらず、性的意図を要求する根拠もなく要件とすることは妥当ではない。

といったものが考えられます。

このような批判は非常に妥当な批判内容だと思われますし、実際判例に反対する立場も非常に多かったのです。

そして、今話題となっている事案では、上記の判例を変更することが検討されることとなったのです。

ちなみに、今審理されている事案は以下のようなものです。

事案)
被告人は被害者である7歳の女児に対してわいせつな行為をしたところ、このような行為をスマートフォンで撮影していた。
行為の目的は知人から金を得る目的であって、性的な目的で上記行為に及んだのではないというのが被告人側の主張である。

このケースでも、わいせつ行為が金を得る目的でなされた以上、性的目的ではなく、したがって性的意図が欠けて強制わいせつ罪が不成立になるのではないかということが問題となるのです。

第一審と控訴審は、強制わいせつ罪の成立に性的意図は不要であるとして、過去の最高裁判所の解釈とは異なる立場を採用しました。

そこで、今回、最高裁判所が過去の判例を変更して、強制わいせつ罪には性的意図が不要であるという解釈にするか否かが注目されているのです。

年内にも判決が下されるということですが、おそらく従来の判例を変更するものと思われます。

おそらく多くの人にとっては、性的意図は不要であるという解釈の方が納得できるのではないでしょうか。

客観的にはわいせつ行為に及んでいるにもかかわらず、行為者の主観では性的目的ではなく他の目的だったのだから、強制わいせつ罪が成立しないというのは、非常に奇妙であると感じると思います。

多くの批判にさらされて、ついに最高裁が判例変更する時が来たと言えるでしょう。

昨今は、性犯罪について社会的な批判も多くなっていますね。

セクハラ事件や強姦事件もよくニュースで取り上げられるようになり、社会的な関心がかなり高まっているという印象です。

それもあって、刑法も改正されて、強姦罪や強制わいせつ罪も厳罰化され、親告罪も撤廃されました。
関連:刑法改正について解説 性犯罪が厳罰化!!

おそらく、このような性犯罪に対する社会的関心や批判の高まりから、今回のような事件でも強制わいせつ罪についての解釈が厳格にされるべきではないかという考えにシフトしたものと思われます。

判例変更の可能性が高いと思いますが、年内にも下されるという判決を待ちたいと思います。

今回は強制わいせつに関する情勢について書いていきました。

みなさんの意見も聞いてみたいので、何かあればぜひコメントしてください。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

それではまた。