書評(労働事件)

【書評】『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』〜退職代行の弁護士実務がQ&Aで分かる〜

(この記事はプロモーションを含みます。)

今回は、弁護士が扱う案件の中でも特に多い労働問題のうち、退職代行に関する有益な実務本、『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』について、特徴や評価をまとめて書評を書いていきたいと思います。

この記事を書いている私は弁護士として日々業務を行っていますが、その中で労働者から退職代行の相談や依頼を受けることもよくあり、その際には『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』を参照して事件処理をすることも良くあります。

今では労働者側の案件をお受けする際にも自信をもって業務を行うことができますが、それでもやはり実務本を確認して、業務に取り組むという基本的なスタイルで行っています。

退職代行の案件を受ける際に参考にする書籍と言えば『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアルというくらいには、お世話になっている書籍です。

そんな私の感想を踏まえつつ、この記事では『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』の良い点・イマイチな点などの情報を書いていきます。

一般民事や労働系の案件を扱う法律事務所に就職予定の司法修習生の方や独立希望の若手弁護士の方にとって非常に役立つと思いますので、ぜひとも本記事の内容を参考にして頂けると嬉しいです。

Contents

『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』の情報

今回紹介するのは、デザインエッグ株式会社から出版されている『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』です!!

著者は、弁護士法人大明法律事務所所属の弁護士をはじめとした複数の弁護士先生方でして、弁護士法人大明法律事務所が編集を担当されています。

『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』の特徴と評価

一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』は、退職代行や退職時に関連する労働問題について、Q&A形式でわかりやすく解説している、主に弁護士向けの法律実務マニュアル本です。

弁護士の先生が弁護士の視点から解説している書籍なので、これから退職代行の案件を担当するという弁護士にとってはかなり信頼できる本になっています。

特徴としては、全体を通して100頁くらいのボリュームであり、一問一答形式で退職代行手続きに必要となる基礎知識や実務で困ることが多いポイントの解説をしています。

主には労働者側の案件を担当する弁護士向けの内容であるといえますが、使用者側の弁護士にとっても退職代行に関する知識を習得することはプラスになるといえます。

一般的に、弁護士の実務向けの本ですと、項目ごとに解説を記載していくような解説本が多いですが、本書はよくある質問点等をピックアップして一問一答形式でまとめているのが特徴的。

質問の内容も一般的な問い(Q)もあれば、具体的な場面を想定した相談のような質問(Q)もありますので、退職代行の案件に取り組む弁護士としては非常に分かりやすいのが良いです。

一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』は、あくまで退職代行(あるいは退職)の手続きにフォーカスして解説している本なので、労働法の知識が網羅的に習得できるわけではありません。

むしろ、一定程度は労働法の知識があることが前提となり、そのうえで弁護士が退職代行の案件処理をするにあたって役立つ内容であるので、労働法の知識が薄いという人は、まずは『リーガルクエスト労働法』などの労働法の基本書を読むのが良いと思います。

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『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』の良いところ

ここから『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』の良いところを挙げていきます。

一問一答形式で退職代行の知識が分かりやすく解説されている

一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』の特徴は、一問一答形式で退職代行のポイントを解説している点です。

弁護士が、退職代行を行っていて悩む、あるいは、気になるであろうポイントをQ&Aにまとめて解説しています。

全体としてのボリュームは100頁に抑えられていて、短時間でも負担なく退職代行の手続きのポイントを確認できるのが良い点です。

解説内容も非常に簡潔かつ分かりやすいですし、必要に応じて、条文や判例の指摘もあるので、さすが弁護士が実務家の目線で作成しているだけのことはあるという感じです。

もしも退職代行の案件を受けた場合には、本書を手元においておけば、何かで悩んだ際にサクッと確認して解決できたりしますので、労働関係の事件を扱う事務所に所属している弁護士は購入しておいて損は無いと言えます。

実務家の視点から、実践的なヒントを記載している

ここまでにも記載してきましたが、『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』は、弁護士が実務家の視点から退職代行のポイントを解説しているという点が非常に有益です。

弁護士目線での解説本はそこまで数も多くないですし、特に退職代行手続きについては本当に数が限られていますので、弁護士としても、実務本は非常にありがたい存在と感じます。

一般的な知識レベルにとどまらず、弁護士の案件処理の過程で生じ得る疑問に答えるという実務本ならではの内容がとても役に立ちます。

一般の人にとっては難しい内容と言えますが、弁護士が退職代行案件の解決ために使用するという点では最適な書籍と言っても過言ではありません。

退職代行分野に特化しているという希少性がある

労働法の書籍は数多く出版されていますが、退職代行の手続きにフォーカスして解説している書籍は数が限られています

特に、弁護士が実務家に向けて退職代行について解説している内容の書籍は、市場にはほとんど存在しないので、その意味でかなり希少性の高い本であると言えます。

確かに、労働法の案件の中でも退職代行の手続きはそこまで相談や依頼を受けることが多い分野というわけではありませんが、それでも一般民事の事務所であれば一定程度の相談は来ると思います。

そんな状況で、一般的な知識だけではなく、退職代行の細かい知識や留意点などまでも学ぶことができる点で、労働関係の事件を担当する弁護士にとって非常に役立つ書籍と評価できます。

『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』のイマイチなところ

一方で、『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』のイマイチなところも挙げていきます。

労働法の全体的知識が習得できるわけではない

一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』は退職代行に特化して解説している実務本です。

そのため、退職代行については非常に勉強になるものではありますが、労働法(あるいは退職)の知識が網羅的に習得できるというわけではありません

むしろ、網羅的な知識習熟は『菅野労働法』など基礎本の役目であると割り切って、退職代行の手続きに特化することで、退職代行については非常に詳しく、しかもボリューム感も少なく抑えて解説することに成功していると言えます。

選択科目が労働法ではない人や労働法の知識が薄いという人にとっては、『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』だけでは適切な案件処理ができないと思いますので、基本書などを併せて使用して勉強するようにしましょう。

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書式など弁護士実務に役立つツールが掲載されているわけではない

一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』には、書式などの掲載はありません

弁護士の実務本の多くは、弁護士が案件処理を行うにあたって役立つ書式が掲載されていたりします。

例えば、『事例に学ぶ労働事件』では、通知書や契約書などの数多くの雛型(通知書や訴状の記載例は参考程度ではありますが便利ですし、形式などを調べるのに役立ちます。)が参考として掲載されています。

もちろん、退職代行の手続きで必要となる書式は限られているので、そこまで大きなマイナスとは言えません。

とはいえ、参考となる書式が有るか無いかで考えると、あった方が便利であるとは思いますので、書式関係は他の書籍を参考にするとより良いのではないかと思います。

『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』はこんな人におすすめ

・司法修習生
・一般民事を扱う法律事務所に就職した人
・若手弁護士
・労働法(労働者側)の案件を扱いたい弁護士

退職代行手続きを弁護士向けに解説している本は少なく、退職代行手続きについてはこれ一冊で安心と言えるので非常にお勧めです。退職代行の案件を受ける可能性があるという弁護士の方は、ぜひ一度『一問一答形式でわかる退職代行 Q&A 法律実務マニュアル』を手にとってみてください。