書評(労働法)

【書評】『リーガルクエスト労働法 第3版』〜簡潔で読みやすい基本書〜

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こんにちは

今回は労働法の基本書のおすすめ、『リーガルクエスト労働法 第3版』について特徴や評価をまとめて書評を書いていきたいと思います。

司法試験の受験生にとって基本書選択で悩むことは多いと思いますので、特に労働法の選択者に向けておすすめの基本書として『リーガルクエスト労働法 第3版』について紹介したいと思います。

ぜひ本書評を労働法の基本書選びの参考にしていただければ嬉しいです。

Contents

『リーガルクエスト労働法 第3版』 有斐閣

今回紹介するのは有斐閣から出版されている『リーガルクエスト労働法 第3版』です!!

著者は慶應義塾大学法科大学院教授の両角道代先生・森戸英幸先生、元神戸学院大学准教授の梶川敦子氏、東京大学教授の水町勇一郎先生です。

『リーガルクエスト労働法 第3版』の評価と特徴

リーガルクエスト労働法』は「リーガルクエストシリーズ」の労働法についての一冊です。

「リーガルクエストシリーズ」は法学の基本書のシリーズとして有名ですし、会社法・刑事訴訟法・民事訴訟法あたりは持っている方も多い定番の基本書ですね。

「リーガルクエストシリーズ」全体に言え、かつ、『リーガルクエスト労働法』にも当てはめる特徴が、各事項について簡潔にまとめて説明されているという点。

本書は他の労働法の基本書と比較してもかなりコンパクトですし、解説が簡潔にまとめられていて読みやすいという良点があります。

全体的に解説があっさりしていて深く掘り下げるというのも少ないので、本書の対象は労働法初学者〜中級者くらいだと言えます。

本書は全体で350ページほどありまして、第1章から第23章まであります。

本書の構成をおおまかに分けていくと、以下のような感じ。

第1章から第3章までが労働法総論

第4章から第16章までが個別的労使関係

第17章から第21章までが集団的労使関係

第22章が労働市場法

第23章が労働紛争解決法

本書の解説の中では関連判例が度々引用されていますし学説の紹介はそこまで多くはないので、かなり判例を意識した作りになっていると感じられます。

また、最高裁判例はもちろんのこと、地裁や高裁の裁判例までも参照しつつ解説されています。

がっつり引用されているのはほとんど有名な最高裁判例なのですが、解説の中で裁判例にも触れているという感じです。

解説は割とあっさりしていますので、深く考えぬきたいという学者気質のある方は菅野先生の『労働法』のような重めの基本書の方がいいと思います。

本書はサクッと読んで労働法の全体像を把握したいという人に向いています

司法試験の科目は多いですし選択科目に割ける時間も多くはないでしょうから、なるべく短時間で学習できるものの方がいいと考えると、本書は労働法基本書の中ではかなり司法試験受験生向きだと評価できます。

 

『リーガルクエスト労働法 第3版』の良いところ

『リーガルクエスト労働法 第3版』の良いところをまとめていきます。

 

簡潔で読みやすい解説

まず『リーガルクエスト労働法』の一番の魅力は何と言ってもシンプルにまとめられた解説にあります。

個別的労使関係・集団的労使関係・労働市場法というように、司法試験の選択科目の中でも学習するべきことが多い労働法科目の基本書として、簡潔にまとめられた本書の読みやすさは非常に大きな魅力です。

特に労働法初学者の人は本書を利用して出来るだけ早く労働法全体について学習しておくと、その後の労働法学習がスムーズに進むのでおすすめです。

判例の引用や紹介が多め

『リーガルクエスト労働法』では判例や裁判例の紹介が多く、しかも重要判例については事実概要と判旨の引用が掲載されています。

その上で、判例の内容や関連事項についてもしっかりと解説されていますので、学習者にとっては判例中心の学習ができるというメリットがあります。

もちろん、『労働法判例百選』を使用してしっかりと判例を読むことは大切なのですが、労働法の学習の初期段階であれば判例百選よりも本書を読むことで判例も学習していくというのが良いかもしれません。

周回向きの基本書

『リーガルクエスト労働法』は解説がキュッとまとまっていることやかなり読みやすい解説になっていることから、何回も読み直すのに向いている基本書だと言えます。

全体でも350ページと基本書の中ではかなり薄めの作りになっていますので、ささっと通読して問題演習に進むこともできます。

読み込むために要する負担が大きくないという点は、限られた時間の中で効率よく勉強しなければならない司法試験受験生にはかなりのメリットになりますね。

 

『リーガルクエスト労働法 第3版』のイマイチなところ

では『リーガルクエスト労働法 第3版』のイマイチなところを挙げていきます。

 

論点について深く学習するには向いてない

『リーガルクエスト労働法』は労働法の論点について深く学習する用の基本書としては向いていません

簡単に全体を網羅するにはぴったりなのですが、個々の論点について深く掘り下げて説明しているわけではないので、じっくり勉強するというスタイルが好みの方は前述しました菅野先生の『労働法』を使用すると良いかと思います。

また、本書を使用して一通り労働法の学習をしたけど、もっと労働法の論点について補完的に勉強したいという人は『労働法の争点』を使用してみるのもアリ。

試験対策には他のものも必要

当然のことではありますが、本書はあくまで基本書ですので司法試験の答案や論証については全く触れていません。

また司法試験に重要な論点を多めに解説しているというようなこともなく、各論点の比重はそれほど大きく変わりません。

なので、司法試験の労働法科目対策を考えるのであれば、予備校本(例えば、『1冊だけで労働法』など)を使用して、頻出論点の確認や論証の暗記を行う必要があるでしょう。

 

『リーガルクエスト労働法 第3版』はこんな人におすすめ

・司法試験受験生(労働法選択者)

・あっさり系の基本書が好みの人

・リーガルクエストシリーズが好きな人

・労働法初学者〜中級者

労働法の基本書の中でもかなり司法試験向きのものだと思いますし、リーガルクエストシリーズはいずれもコンパクトにまとまっていて勉強しやすくお勧めです。労働法の基本書選びに悩んでいる方は、ぜひ一度『リーガルクエスト労働法 第3版』を手にとってみてください。

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