法律学習

法律論文問題の論証(答案)の書き方講座〜論述対策として

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どもども

今日は法律の試験等で出される論述問題の答案の書き方について、私の考えを軽く話したいと思います。

あくまで、私が書くときに注意していることですので、これを参考に調整して自分のものにして頂けたら幸いです。



 ◯論理的な文章の書き方

さてさて、というわけで、法律系の試験ではいわゆる論述式の問題が出されます。

例えば、「誤想過剰防衛について論じなさい」とか「甲が乙を殺そうとして石を投げたら、近くにいた丙に当たって丙が死亡しました 。甲の罪責について論じなさい」とかですね。

このような問題は書き方が定められていないので、人によって構成や書く内容も変わってくるし、特に初学者の方だと書き方がわからないから書き出せないという事態に陥ります。

そこで、 一定のフレームワークを用意することでこのような事態を防ぐことが非常に有益なのです。

慣れてきたら自分なりに臨機応変にフレームを変えることができますので、まずは下記に示すフレームを身につけると楽だと思います。

そもそもなのですが、法律やその他の分野でも、論述する際に最も気をつけなければならないことはなんでしょうか。

私は、読み手に自分の考えがわかりやすく伝えられること、だと思っています。

これは当然のことながら、非常に大事なことなのです。

例えば、会話をする際に相手に質問する場合は必ずあると思います。それに対して、相手の答えが支離滅裂であったり、質問に対してズレた答えが返ってきたり、高度に専門的な言葉を使われて内容が全く伝わなかったとき、質問した側としてはどんなことを思うでしょうか。

「相手は本当に質問を理解しているのだろうか」
「 適当なことを言っているのではないか」
「頭悪いのかなぁ」
「もっとわかるように言って欲しい」

このようなことを思う人は多くいると推測されます。

ここまで酷いことを思わなくとも、マイナスなイメージは持ってしまうでしょう。

これと同様に、論述試験でも聞かれている内容に対して、適切な言葉でわかりやすく過不足なく説明することができなければ、高評価を得ることはできません。

なので、論述試験においては、まず意識するべきこととして相手に伝わる表現でわかりやすく書くことが大事なのです。

そして、わかりやすい文章の条件として、論理が一貫していること、すなわち、主張内容に筋が通っていることが必要となってくるのです。

前半で書いた内容と後半で書いた内容が真逆で矛盾関係にあるような場合、書き手としては理解しているつもりでも、読み手としては意味不明なことを書いているとしか感じないものです。

そのため、全体として論理一貫性があり整合的な文章を書かなければなりません。

では、論理的な文章はどのようにすれば書けるのでしょうか。

ここが大事なポイントだと思うのですが、論理的な流れで書くためには、そもそも論から始める必要があります。

つまり、法律でいうと、そもそも、なぜその規定が存在するのかという話から始めることが大事なのです。

これがいわゆる趣旨から解釈を導くという作業になります。

条文の趣旨を考えて、そこからどのような結論を導き出すことが整合的なのかという流れです。

これは条文解釈という法律の問題のみならず、一般的に論理的思考をする上で基盤となるものなので身につけるとあらゆることに応用可能です。

そもそも物事の本質や行為の目的が何なのかを考えて、そこから適切な選択をするというものです。

軽く具体例を見てみましょう。

Eg1:抽象的事実の錯誤の論証

そもそも故意の本質は、規範に直面して反対動機の形成が可能であったのにもかかわらず、あえて行為に及んだことに対する道義的批難にある。そして、通常、規範は構成要件の形で国民に与えられる。
そこで、異なる構成要件間の錯誤がある場合であっても、構成要件が符合する限度においては故意責任を問うことができる。

Eg2:ビジネス

そもそも、今回当社で新しいカップラーメンを販売しようと決定した理由は、女性にもカップラーメンを食べてもらい販売利益をあげたいということであった。そうであるならば、新しく開発されるべきカップラーメンは女性ウケのいいものでなければならない。そして、そもそも女性とは、美容や容姿に気を配る生き物である。そうであるならば、女性ウケのいいラーメンとは美容や容姿に影響を与えないヘルシーなものとなるだろう。したがって、新しく開発されるべきカップラーメンはヘルシー路線で行くべきである。

すごく適当な具体例で申し訳ないのですが、論理的にわかりやすく、論旨が一貫している文章とは上記のようなものでしょう。

上記のような文章だと何が言いたいのか伝わらないという事態は考えにくいと思います。

もちろん、一つ目の例であげた抽象的事実の錯誤の論証については、内容が抽象的で難しいとは思うのですが、これに関しては刑法の学習をした者ならおそらく理解ができるし、法律の学者が出す問題なので少なくとも刑法の知識がない人が読み手となることは考えられません。

なので、論述試験においては、高度に専門的であるという点についてはそんなに気にする必要はないでしょう。

でも、刑法の知識がない人には、専門的な表現ではなく、噛み砕いた表現で説明しましょう。

その場合でも、話す流れは上記のような感じで大丈夫です。

とにかく、大事なことはそもそも論から話をスタートするという点です。

これで論文試験を解く際の流れは簡単には理解して頂けたと思います。

そもそも論から始めて結論を導き出すのです。

 ◯法律問題の答案の流れ

次に 、法律文章の大きな流れについて話します。

法律には一定のフレームワークが存在します。

今までは、一般的に論理的な文章がどのような 流れで構成されるのかという話でしたが、ここからは法律の答案に独特な話をします。

まず、法律の論述問題で聞かれることは何かということなのですが、法律には解釈について説の対立が生じている部分、すなわち、論点と呼ばれるものが存在します。
法律の問題では多くの場合、論点について自分の意見を書きなさいという形式で問われることとなります。

そのため、法律の論述試験では論点について気付いているという意思を明示しなければなりません。

これを問題提起と言います。

ここでは、なぜその点が論点となっているのかを示すという作業が必要となります。

問題提起をしたら、次にするべきことは論点の解決のために、自分の主張する見解の大枠を示すこととなります。

つまり、論点とは法律の解釈の対立点をいうところ 、いかなる解釈が妥当なのかということを示す必要があるということです。

これが規範定立と言われるものです。

そして、具体的な事例が与えられている場合には、規範を示すだけでなく、その規範を使って具体的な事例の解決案を導き足すのです。

つまり、規範という判断基準に従って具体的事実を評価するのです。

これがあてはめです。

規範を具体的事実に当てはめて考えるという作業になります。

最後に、あてはめた結果を示すこととなります。

これが結論です。

論述試験ではこのような流れに沿って答案を構成する必要があるのです。


問題提起
⬇︎
規範定立
⬇︎
あてはめ
⬇︎
結論


という流れになります。

この順序で答案を書いていけば、論述試験は自然と描けるようになると思います。

そして、最初に示した論証(抽象的事実の錯誤の論証)が どこに来るのかというと、規範定立の部分となります。

つまり、法律の論証は論点についてのものなのですが、論点の論証は規範定立のパートで書くことになるのです。

そして、論証の書き方は上記で示した通り、そもそも論から始めるという書き方になります。

あとは、そもそも論から導き出した結論を具体的な事実にあてはめて最終的な結論を導き出すのです。
(結論という言葉が重複してごめんなさい……笑)

このように、法律の文書は一定の大枠が存在しますので、これを最初に示した論理的な文章の書き方と組み合わせて書けば、それだけで簡単に答案が作れると思います。

あとは練習あるのみですかね……笑

練習すればいつの間にか慣れて、勝手にこの流れで書くことができるようになると思います。

また上記の流れで書くのが難しいと感じた時は、これを基本に一部修正すればそれなりの文章が書けると思います。

なので心配せず、いろんな問題をまずはこのフレームで解いてみてください。



さて論述試験の答案の書き方について書かせていただきました。

いつか、旧司法試験とかの答案を実際に書いてみたいと思いますので、それを楽しみにしてください。

わからないことがありましたらぜひ質問してください。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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