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こんにちは
今回は予備試験・司法試験の短期合格者による、憲法演習書(参考書)の『読み解く合格思考憲法』について書評を書いていきたいと思います。
受験界の中でもなかなか評価が高くて評判の演習書(参考書)なので、予備試験・司法試験を受験予定の人はぜひ参考にしてみてください!
なお、過去の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜
Contents
『読み解く合格思考憲法』 玄唯真著 辰巳法律研究所
今回紹介するのは『読み解く合格思考憲法』です!
玄 唯真 辰已法律研究所 2015-11-01 売り上げランキング : 249482
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著者が、予備試験合格&司法試験合格の玄唯真氏で、予備試験や司法試験対策用として辰巳法律研究所という法律予備校から出版されている演習書です。
『読み解く合格思考憲法』の特徴と評価
全体で4部構成になっていてそれぞれ
1部 憲法答案の書き方
2部 短文事例問題を使って論点解説と参考答案
3部 新司法試験の問題
4部 統治の問題について
という内容になっています。
1部では、司法試験や予備試験では頻出の基本的人権の判例や学説等の基本的知識を解説をしながら、論証例を交えて憲法答案の型について学んでいきます。
2部は、主に旧司法試験の問題を使って、憲法の試験ではどのようなことが求められているかの解説と参考答案が書かれています。
3部は、新司法試験の長文問題を扱って、新司法試験についての解説と参考答案がついています。
1部と2・3部で違うのは一般的な解説(例えば表現の自由の一般論など)をすることなく、新司法試験の問題で答案作成に必要な点だけを解説していくというスタイルになっている点です。
1部と2・3部で違うのは一般的な解説(例えば表現の自由の一般論など)をすることなく、新司法試験の問題で答案作成に必要な点だけを解説していくというスタイルになっている点です。
1部は基礎知識などについての解説、2・3部では新司法試験問題の解説、ということです
4部は、統治分野について、解法パターンや基礎知識の解説が少しあり、予備試験の問題解説と参考答案が付いているという感じです。
ただ、解説といっても十数ページしかないのでこれだけで必要な知識が身につくわけではありません。
予備校出版&予備試験と司法試験の短期合格者が著者となっているため、司法試験や予備試験を意識して作られたものになっていると言えます。
特に、1部では判例が引用されながら、論証例としてまとめるという流れで解説されているので、基本知識の確認だけではなく答案を意識しながら学習することができて司法試験受験生にとってはとても使えるものになっています。
各人権の解説について問題検討のポイントが最後に挙げられていたり、解法パターンを書かれていたりする点もオススメできるところです。
『読み解く合格思考憲法』の良い点
・参考答案付きで答案の型を身につけられる
それぞれの問題には全て参考答案が付いています。特に憲法については答案の書き方がすごく難しいというか独特なので、参考答案で答案の型を学ぶことができるのはすごくいい点ですね。特に平成26年の新司法試験問題の参考答案は実際に著者が司法試験を受験して合格した際の再現答案になっているので、司法試験合格のレベルをイメージできる点でかなり有用な内容になっている。
・論証例を交えた解説
試験を意識している点として、解説に論証例が付いているところもあります。これも司法試験受験生にはかなり有難いことで、ちゃんと知識を入れていると思っていても実際に答案を書くとなったらなかなか判例の表現を思い出せずに全く手が動かなくなったりするものです。論述試験でそうなってしまうとどうしようもないので、論証例が付いている解説で憲法の知識を答案の形に落とし込む方法を学ぶという意味でかなり役に立ちます。「最低限答案は書ける」というレベルにはなると思います。
・解説が簡潔なので回しやすい
やはり受験生(司法試験合格者)が著者となっているので、学者執筆の演習書や参考書のような難解で抽象的な表現で解説する、というものではなくコンパクトに分かりやすく試験向きの内容の解説がなされている点は司法試験や予備試験の受験者にとってかなり高評価できますね。判例もちゃんと引用して、その後で考え方のまとめがされているのですごく理解しやすい作りになっています。
『読み解く合格思考憲法』のイマイチな点
・問題の数は少ない
問題の数自体は少なめで新司法試験の問題についても3問だけ(旧司法試験は10問)しか取り扱っていないので、問題演習のためには『憲法演習ノート』や『判例から考える憲法』などの他の演習書などを使って補完する必要があります。本書で答案作成能力を身につけても、しっかりアウトプットの機会を確保できないと意味がないので、他の演習書も活用しましょう。
・統治はあまり扱っていない
統治分野については合計20ページほどしか解説されていないので基本書などで確認する必要があります。特に予備試験では統治分野からの出題も時々あるので予備試験を受験する場合には『憲法学読本 第2版』などの基本書を読むようにしましょう。
・短答試験には対応できない
憲法論文問題の対策や論文試験の答案の書き方を主眼に置いた参考書(演習書)なので、短答試験で問われるような細かい知識を解説しているわけではありません。それに、短答試験では本書であまり扱われていないような統治分野からも多く出題がされます。なので、短答試験の対策もしたい場合には、上記のような基本書を読み込むか、『肢別本〈1〉公法系憲法〈平成29年度版〉』や『司法試験&予備試験短答過去問パーフェクト〈1〉公法系憲法〈平成29年版〉』を使って短答知識を詰め込む必要があります。
こんな人におすすめ
・憲法論文問題の答案の書き方を知りたい人
・短時間で回せるコンパクトな演習書(参考書)が欲しいという人
・予備試験、司法試験短期合格者の書いた参考書を読みたい人
・基本的人権の知識を簡単に復習できる本を探している人
・司法試験(平成25〜27年)の解説と参考答案を読みたい人
・予備試験受験予定の人
その他の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
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