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こんにちは
大学の法学部や法科大学院で行政法を勉強している人は多いかと思いますが、行政法の基本書などは種類も多いですし、学習初期段階の人は特に迷いが多いかと思います。
実際、私自身行政法の基本書や問題集選びには悩みましたし、司法試験合格を目指して何を使えばいいのか分からないと思うこともありました。
そこで、この記事では、そのように行政法の参考書選びに悩みを覚えている方に向けて、令和元年司法試験に一発で合格することができた私がおすすめする行政法基本書・参考書・問題集など、をまとめて紹介していきたいと思います。
これから行政法を学習するという人や司法試験の合格を目指そうと思っている方、公務員試験などの資格試験のために行政法を勉強しないといけない人は、ぜひ参考にしてください。
Contents
行政法初学者向けのおすすめ基本書・参考書・問題集など
まずは、行政法の初学者に向けておすすめな書籍を紹介していきたいと思います。
【基本書】『現代行政法』
まず、初学者向けの基本書として『現代行政法』をおすすめしたいと思います。
初学者の場合には、基本的にざっと一周することを一番念頭に置くべきだと思っているのですが、一周するのが比較的容易な基本書が『現代行政法』になります。
簡易な説明で比較的短めに解説されていますので、深く学習するには不向きかもしれませんが、初学者が行政法の全体像をなんとなく頭に入れるくらいには十分向いていると思います。
もちろん、後ほど紹介するような中級者以上向けの定番基本書などを最初から使用するのもいいと思います(私は後ほど紹介する『基本行政法』を最初から使用しました)が、もっと負担を軽くしたい人は最初は『現代行政法』でもいいかと思います。
※『現代行政法』については下記の記事でより詳細な書評を行なっていますので、そちらの方もぜひご参考にしてください。
関連記事:【書評】『現代行政法』橋本博之著〜行政法初心者向けの入門基本書〜
【問題集】『基礎演習行政法』
初学者に圧倒的におすすめな行政法の問題集は、土田伸也先生が著者の『基礎演習行政法』です!
こちらの問題集の特徴は、簡単な事例問題を使い分かりやすくまとまった解説でテンポ良く行政法の重要論点を学習できるという点です。
それぞれの事例問題自体は割と短めで難しくはないのですが、処分性や原告適格といった行政法の試験で頻出の重要論点を中心に扱っています。
本書をおすすめする一番大きな理由は、解説の秀逸さにあります。
学者本の解説は難解な表現が使われていたり、予備校本のように整理してまとめられていなかったりと、初学者が学習していくには難しいと感じる要素が多いことがあります。
しかし、『基礎演習行政法』は、非常に簡潔にまとめられていますし、随時解説のまとめが表にされているので、自分の理解の整理にも役立ちます。
解説自体もびっくりするくらい分かりやすくて、私も行政法を勉強したての時は『基礎演習行政法』の解説にはかなりたすけられました。
行政法初学者が事例問題のイメージを掴みたいと思った時は、最初の一冊として『基礎演習行政法』を使用することを強くお勧めいたします。
※『基礎演習行政法』については下記の記事でより詳細な書評を行なっていますので、そちらの方もぜひご参考にしてください。
関連記事:【書評】『基礎演習行政法』〜行政法初学者が基礎を固めるためにおすすめな演習書〜
【判例集】『行政判例ノート』
初学者に判例集をおすすめするのであれば『行政法判例ノート』が良いかと思います。
『行政法判例ノート』の特徴は大量の判例が簡潔にまとめられて収録されている点です。
収録判例数は200以上となっているので、本書の判例を確認するだけでも十分すぎるくらいの量の判例に触れることができます。
行政法の論点(処分性とか原告適格とか)ごとに章が分けられていて、自分の学習している場所の主要判例をすぐにチェックできるようになっています。
事実概要と判旨と簡単な解説が記載されているのですが、それぞれ短めに抑えられているので、短時間で判例の要旨を確認することができる作り。
『行政法判例ノート』は行政法の判例をがっつりと深く学習するには不向きではありますが、初学者が判例を軽く知るという段階ではかなり使いやすいものとなっています。
『行政判例百選』も当然人気ではありますが、解説が非常に長いですし、行政法の試験ではそこまで重要ではない学説の解説も多いので、初学者におすすめ行政法の判例集となると個人的には『行政法判例ノート』が一番勉強しやすくて良いと思います。
行政法中級者以上におすすめな基本書・参考書・問題集など
ここからは、行政法中級者以上と言える程度に学習した人に向けて、おすすめの基本書・参考書・問題集などを紹介していきます。
なお、行政法中級者とはどれくらいを想定しているかと言いますと、法科大学院生や予備試験受験生などある程度行政法を勉強して知識を頭に入れたという方です。
【基本書】『基本行政法』
司法試験の合格を目指そうと考えている人などに一番おすすめな基本書は『基本行政法』です。
『基本行政法』はわかりやすさもあり、それでいて判例も多く紹介されている、というのが特徴の基本書。
各章ごとに簡単な事例と設問が設定されていて、解説の中でその設問へのアプローチ方法が説明されている、というように学習者がイメージを掴みやすくなる工夫が施されています。
また、簡単なイメージ図を記載していたり、コラムを設けてその中で詳細な解説がなされたりと、学習しやすい作りになっているのもおすすめポイントです。
私は基本書の通読が苦手な人間なのですが、そんな私でも『基本行政法』に関してはそれほど負担を感じることなく通読することが出来ましたし、そのおかげもあって司法試験の合格に必要な行政法の知識をしっかり身に付けることが出来たと思っています。
櫻井先生&橋本先生の『行政法』も人気ではありますが、解説の分かりやすさや使い勝手の良さといった点から、行政法の基本書を一冊選ぶなら『基本行政法』を個人的にはおすすめします。
※『基本行政法』については下記の記事でより詳細な書評を行なっていますので、そちらの方もぜひご参考にしてください。
関連記事:【書評】『基本行政法 第3版』〜行政法の試験対策向けのおすすめ基本書〜
【問題集】『事例演習行政法』
中級者以上向けの行政法問題集としてまずおすすめできるのが『事例研究行政法』です。
司法試験受験生や法科大学院生には非常にメジャーで定番の問題集ですので、持っている人も多いかと思いますが、本当におすすめなので使用していない人はぜひ手に入れてみてください。
おすすめな点としては、問題の質が非常に高くて解説もしっかりしている点とコラムが素晴らしいという点です。
問題に関しては、かなり種類が豊富で多くの論点を取り扱っていますし、もちろん処分性や原告適格などの頻出論点に関する問題も出題されます。
司法試験受験生の中には、行政法の演習は『事例研究行政法』をひたすら回すだけ、という人もいるくらいに出来の良い問題集ですし、一通り学習すればある程度穴は潰せると思います。
また、本書の中ではコラムが非常に重要度が高く、一番チェックするのをお勧めする箇所になっています。
というのも、『事例研究行政法』のコラムでは「処分性」や「行政裁量」といった行政法の試験で頻出の重要論点について解説されているのですが、この解説では問題を解く際にどのような要素に着目すべきかなど、試験で良い答案を書くためのヒントが記載されているのです。
個人的には初学者の人には少々難しい問題集だと思うのですが、コラムの部分は本当にすごく役に立ちますので、初学者であっても目を通してみていいかもしれません。
行政法の問題集の中から1冊だけ選ぶのであれば、私は『事例研究行政法』を強くおすすめいたします。
※『事例演習行政法』については下記の記事でより詳細な書評を行なっていますので、そちらの方もぜひご参考にしてください。
関連記事:【書評】『事例研究行政法 第3版』〜司法試験受験生など中級者以上向けの問題集〜
【問題集】『実戦演習行政法』
次に紹介する問題集は『実戦研究行政法』です。
こちらは主に予備試験を受験する予定の方におすすめしたい行政法の問題集です。
『実戦研究行政法』が扱っている問題は全て予備試験の論文試験で出題されたもので、平成23年〜29年までの問題が収録されています。
著者が先に紹介した『基礎演習行政法』の土田伸也先生ということで、かなり解説が丁寧で分かりやすく、受験生向けの内容となっています。
予備試験の問題なので、当然問題の質も高いですし、各問題につき解答例が付いているというのもかなり良い点です。
予備試験の解説本や解答例が少ない中で、各年代の予備試験行政法の問題につき解説&解答例が付されている『実戦研究行政法』は、特に予備試験受験生には有難い存在だと思います。
また、予備試験の問題は予備試験受験生以外にも、例えば司法試験受験生やロースクール受験生にも勉強になると思うので、一度本書に手を出してみると良いかもしれません。
※『実戦演習行政法』については下記の記事でより詳細な書評を行なっていますので、そちらの方もぜひご参考にしてください。
関連記事:【書評】『実戦演習行政法』〜予備試験の行政法問題を素材とした問題集〜
【問題集】『行政法ガール』
最後にご紹介する行政法の問題集は大島義則先生が著者の『行政法ガール』です。
こちらは、新司法試験の過去問を扱っている問題集なのですが、『憲法ガール』と並んで司法試験受験生は必読といっても良いくらいに素晴らしい問題集です。
解説はストーリー仕立で進んでいくのですが、その中で登場人物が議論形式で新司法試験の問題に取り組んでいくという形になっています。
解説自体も目から鱗が落ちるような内容で素晴らしいのですが、特に解説の最後に付されている参考解答例が必見です。
自分なりに新司法試験の問題に取り組んで答案を作成したあとで、『行政法ガール』を読むながら答案のチェックをしていくと、かなり行政法の答案レベルを向上させることができると思います。
司法試験に合格できた私としては、行政法の過去問検討は『行政法ガール』を使用しながら行うのが一番良い行政法の論文対策となったと思っています。
司法試験受験生には行政法の論文対策として『行政法ガール』を一度は読んでみることをおすすめします。(逆に、初学者や学部生には少々難しくてオーバースペックですので、先に紹介したような問題集をまずこなすのが良いかと思います。)
【判例集】『ケースブック行政法』
中級者以上の実力の方におすすめしたい行政法の判例集は『ケースブック行政法』です。
『ケースブック行政法』は各分野(国家賠償や原告適格など)の主要判例が非常に長く掲載されているのが特徴的な判例集。
事実概要も判旨も数ページに渡る量が掲載されていて、腰を据えてじっくり行政法の判例を学習するのにぴったりな内容になっています。
特に司法試験受験生にとっては、判例の規範だけではなく、規範定立までの論理展開や事実の当てはめの際の着目ポイントなど、行政法の論文試験での答案作成に必要な点を読み取ることができるのが良いところです。
中級者以上向けの判例集としては『行政判例百選』と評価を二分するかと思いますが、個人的には、判旨が長く記載されていて判例の論理や当てはめを掴むことのできる『ケースブック行政法』の方が判例学習としては使えるのではないかと思います。
掲載判例が少ない点が他の判例集と比較して残念な点ではあるのですが、行政法の試験を解くために必要になるような主要判例はちゃんと抑えているので、司法試験等の対策としては問題ないかと考えています。
あと、『ケースブック行政法』には判例の解説といったものは記載されておらず、基本的には主要判例の事実概要と判旨が長く掲載されているにとどまります。なので、解説が欲しい、学説も学習したい、という方は『行政判例百選』を使用した方が良いかもしれません。
司法試験合格には上記のおすすめ基本書や問題集で十分足りる
簡単に司法試験について書いておきたいと思いますが、司法試験に一発で合格できた私の個人的な経験から意見を言うと、司法試験合格のためには本記事で紹介した書籍をしっかりとやり込めば十分だと思います。
少なくとも、行政法の論文対策としては上記の問題集をやり込めば、そこまで大きく足を引っ張ることはなくなると思います。
上記のものだけでは不安が大きいようであれば、例えば論文対策としてはアガルートアカデミーの『重要問題習得講座』がおすすめなのでそちらを利用してみるとか、必要に応じて予備校講座を利用するもの有りだと思います。
私が実際に利用していた予備校講座について下記の記事でまとめていますので、予備校講座の利用を考えている人はそちらの記事に目を通して頂けると参考になると思います。
関連記事:司法試験一発合格者が実際に受講していた予備校講座を大紹介〜おすすめも併せて紹介〜
行政法は他の科目よりも頻出事項がはっきりしている科目ですので、処分性、原告適格、行政裁量、行政手続き、各訴訟類型ごとの訴訟要件などのメインテーマを中心に学習していけば十分合格ラインに乗ることができます。
ぜひ本記事の内容を参考に、紹介した書籍を使用してみてください。
最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。
他にも法律学習者の役に立つ記事を用意していますので、ぜひご一読いただければ幸いです。また、ご質問等ありましたらTwitter(@AAA_law_A)のほうにでもDMを頂ければと思います。