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こんにちは
今回は、司法試験受験生に人気の行政法の問題集、『事例研究行政法』について特徴や評価をまとめて書評を書いていきたいと思います。
『事例研究行政法 第3版』は行政法の問題集の中でもかなりメジャーで定番のものなので、司法試験や予備試験等の受験を考えている方には本書評の内容を参考にして頂けると幸いです。
Contents
『事例研究行政法 第3版』 日本評論社
今回紹介していくのは日本評論社から出版されている『事例研究行政法』です!
『事例研究行政法 第3版』の評価と特徴
『事例研究行政法』は冒頭でも述べましたように、司法試験受験生の間ではかなり定番の行政法の問題集です。
「基本行政法 or サクハシ ➕ 事例研究行政法」というセットが司法試験や予備試験の受験生、法科大学院生の行政法学習の定番。
本書の問題の難易度は、「中」ぐらいのレベルの問題が揃っているという感じ。
そこまで難しすぎるというわけでもありませんが、かといって初学者が使用するには少々難易度高め。
なので、本書の対象は行政法中級者以上です。
行政法を勉強し始めて間もない初学者の方は、以前紹介した『基礎演習行政法』が簡単な事例で解説も秀逸なのでおすすめ。
関連記事:【書評】『基礎演習行政法』〜行政法初学者が基礎を固めるためにおすすめな演習書〜
本書の構成は、3部構成です。
第1部は行政法の基本的な問題、第2部は応用論点も含まれた問題、第3部は新司法試験の形式と似た総合問題
第1部と第2部については解説がありますが、第3部は問題のみ掲載されていて解説はありません。
問題の数は、第1部が8問、第2部が17問、第3部が7問の合計32問です。
問題数が少ないというわけではありませんが、多くもないという感じですね。
本書の解説は、比較的詳しくあてはめまでしっかりと説明されています。学習者にとってはかなり役立つ内容が多いです。
特に、時折挟まれるミニ講義というコラムが非常に有益で、処分性や原告適格といった行政法の頻出論点について詳細に考え方や判例をまとめてくれています。
なので本書を使用する際には、問題に取り掛かる前にミニ講義だけざっと目を通しておくといいかもしれません。
第1部と第2部だけでも450ページほどあり、第3部の問題も含めると500ページを超えるほどのボリュームになりますので、全てをやり込むのはかなり負担になるのですが行政法の力は非常につくと思います。
問題も処分性や原告適格といった行政法の頻出論点を中心に、手続き関係の問題や各訴訟形態の要件について問うものなど、かなり網羅性に富んだ内容となっています。
司法試験・予備試験受験生はとにかく『事例研究行政法』には手をつけておいた方がいいと思われますね。
ちなみに、アガルートアカデミーという法律予備校では『「事例研究行政法」解析講座』という『事例研究行政法』を使用した演習書講座が用意されています。
担当講師作成の答案例を用いて解説されている講座ですので、本書の解答例を見たいとか自力で答案作成するのが不安という方にはお勧めできます。
『事例研究行政法』の全問題につき解説&解答例がありますので、気になる方はアガルートの公式サイトからチェックしてみてください。
アガルート公式サイトでは『事例研究行政法』を使用した講座のサンプル動画が無料で視聴できます。
『事例研究行政法 第3版』の良いところ
ここからは事例研究行政法の良いところを簡単に挙げていきます。
コラム(ミニ講義)が非常に役に立つ
『事例研究行政法』は問題集でありながら、参考書的な側面も有していまして、それが色濃く現れているのがミニ講義というコラムです。
コラムでは処分性の考慮要素や判例をまとめていたり、裁量統制の審査方法をまとめていたりと、司法試験や予備試験等の試験で問われることの非常に多い分野を丁寧に解説しています。
難易度的に初学者には向かない問題集ではありますが、コラム欄だけは目を通してみても良いかもしれません。
コラムが秀逸な問題集という特徴を持っています。
問題の種類が豊富で質が高い
本書の良いところとして、問題の種類が豊富で質が高いという点があります。
原告適格など試験で頻出の定番論点が複数回問われるのに加えて、理由の差替・追完や許可の留保など少々応用的な問題も出題されます。
本書の問題を解いていれば、行政法の主要な論点には一通り触れられるのではないか、というくらいには網羅性があります。
もちろん100%完璧に論点を網羅しているわけではないのですが、それでも様々な論点を等問題が設定されているので、十分行政法の力を鍛えることができます。
個別の法律についても学習できる
行政法の試験では必ず、事案に関係のある法令が参照として付属しているのですが、本書でも当然都市計画法や風営法などの個別法令が参照として掲載されています。
そして、解説の中で個別法令の解釈についても触れていたりしますので、主要な法令について軽くではありますが学習できる機会がります。
また、本書の解説で示されているような条文解釈を学習することで、いざ試験現場で未知の法律の条文解釈が求められた時でもうまく対応する能力を鍛えられるかもしれません。
そのような法令の解釈手法を学習できるという点でも本書は優れています。
『事例研究行政法 第3版』のイマイチなところ
ここからは『事例研究行政法』のイマイチなところを簡単に挙げていきます。
第3部の問題は解説がない
第3部の問題は総合問題ということで難易度も結構高いのですが、残念なことに解説がありません。
もちろん自力で問題を解くことは必要ではあるのですが、やはり自分の考えた内容が間違っていないかどうかを確認するために、簡単な解説くらいは欲しいところ。
ただ、「ヒント」という形で素材判例等が示されてはいますので、それを参考にすれば一応自力でも勉強できるようにはなっています。
でも、第3部の問題についても解説があった方がより良かったというのは感じてしまいますね…
答案の書き方は他のもので学習する必要あり
本書は学者執筆の問題集としては普通なのですが、答案例はついていません。
解説内で答案の書き方に触れることも少ないので、試験で答案を書くのが不安という方は他の問題集などで対応する必要があります。
どうしても答案例を参考にしたいのであれば、先に紹介したアガルートの『「事例研究行政法」解析講座』を利用するのが良いかと思います。
『事例研究行政法 第3版』はこんな人におすすめ
・司法試験受験生
・予備試験受験生
・行政法中級者以上
・法科大学院生
・行政法の定番問題集を探している人
司法試験の受験を考えている方は、最終的に定番の問題集として『事例研究行政法』には手を出すことになると思いますので、購入を検討してみても良いと思います。