書評(刑事訴訟法)

【書評】判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕〜判例を中心に論点を解説した参考書〜

(この記事はプロモーションを含みます。)

こんにちは

今回は『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』の書評を書いていきたいと思います。

刑事訴訟法は酒巻先生の『刑事訴訟法』や古江先生の『事例演習刑事訴訟法 第2版 (法学教室ライブラリィ)』が非常に好評でど定番の基本書(参考書)だと思いますが、今回紹介する『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』もかなり良い参考書です。

今回の記事では『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』の特徴と評価や良いところ・イマイチなところをまとめていきたいと思います。

刑事訴訟法の参考書でお困りな方は、是非参考にしていただけると幸いです。

なお、過去の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜

Contents

判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕 川出敏裕著 立花書房

今回紹介するのは『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』です!!

著者は東京大学大学院法学政治学研究科教授の川出敏裕氏です。

判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕の評価と特徴

オススメ度:★★★★☆

本書は判例講座と題されているだけあって、判例中心に解説が展開されています

 

最高裁判例だけでなく下級審裁判例も引用されていることが多いのも特徴的。

 

テーマについての概要➡︎判例の引用➡︎解説➡︎学説
主にこのような流れに沿って刑事訴訟法の重要論点の説明がなされます。

 

総ページ数は約500ページとかなりボリューム感はありますが、取り扱われているテーマは司法試験や予備試験などの法律試験では頻出となる刑事訴訟法の重要論点ばかり

 

なので、司法試験受験を目指している人にとってはかなり参考になる書籍だと思います。

 

ただし、本書は内容が捜査・証拠に限られているため、例えば訴因変更などの公判に関する重要論点は取り上げられていません。
本書と同時に『判例講座 刑事訴訟法(公訴提起・公判・裁判篇)』も利用すると司法試験に必要となる刑事訴訟法の重要論点は一通り網羅できるのでセットで持っておきたいですね。

 

内容のレベルとしてはそれほど高いわけではなく、むしろ基本的な判例を中心として解説されているので非常に分かりやすい

 

ただ、刑事訴訟法を全く勉強したことのない初学者の場合は判例を見てもさっぱりということになりかねないので、少しは刑事訴訟法に触れているという人でないと厳しいかもしれません。

 

また、かなり発展的なことも軽く触れていたりするため、上級者でも十分勉強になるのではないかと思われます。

 

なので、総合すると一応初学者〜上級者まで使えるくらいの難易度だと思いますが、メインとなる対象者は刑事訴訟法中級レベルの方かと思います。

 

法科大学院生や予備試験受験生にはかなりオススメできる刑事訴訟法の参考書です。

 

初学者はまずは『刑事訴訟法 第2版 (LEGAL QUEST)』などの基本書で軽く勉強するのと、『刑事訴訟法入門 (法セミLAW CLASSシリーズ)』などのレベルが高すぎず、分かりやすい参考書を使用するのが良いかと思います。

 

判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕の良いところ

判例(裁判例)を中心とした解説
『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』では題名の通り、判例を中心の解説が行われています。
特に下級審裁判例にもたくさん触れられている点はすごく勉強になります。
判例の引用が非常に多く、判例の解説も非常に分かりやすいので、判例の立場で論述することが多いであろう司法試験や予備試験を受験する予定という方にはかなり使いやすい参考書です。

 

当てはめの際の考慮要素が挙げられている→司法試験向け
『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』では判例(裁判例)から規範を事例に当てはめる際の考慮要素が整理されています
刑事訴訟法の試験では規範や理由付けなどの抽象的な法律論よりも、具体的事例問題への法律解釈の当てはめに重きを置かれることが多いため、本書で考慮要素が丁寧に整理されているのは論文試験問題を解く際に非常に有益です
考慮要素が分からないと問題文を読んでも重要な事実を見落としてしまったり、当てはめの内容が薄くなってしまったりするため、本書はその対策としてもかなり役に立つ参考書だと思います。
そのため、当てはめの出来が重要となる司法試験向けの参考書と評価できます。

 

判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕のイマイチなところ

細かい学説の対立には触れていない
『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』は判例の立場をメインに解説しているため、学説の対立にはあまり立ち入らないことが多いです
なので、もしも学説も含めた刑事訴訟法の学問的理解を望んでいる場合は、本書では物足りないかもしれません。
司法試験や予備試験を目指しているのなら、判例の立場と主要な学説さえ押さえていれば問題ないので、そこまで気にすることでもありません。

 

分厚くて持ち運びが不便
『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』は約500ページもあるため非常に分厚いです。
なので、学校や予備校に持ち運ぶのがかなり苦痛な作業になります。
法律を勉強していると基本書やら問題集やら予備校本やら、勉強に必要となるものが多いのでカバンがパンパンになるというのはあるあるだと思いますが、その点では本書はかなり不便な参考書だと思われます。
内容が良い参考書なので手元にあると非常に便利なのですが、移動する際には不便というのがマイナス点ですね。

 

こんな人にオススメ

・法科大学院生
・刑事訴訟法中級者
・司法試験、予備試験受験予定の人
・刑事訴訟法の捜査、証拠の分野を勉強したい人
・判例中心の使い勝手の良い参考書を探している人

その他の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
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