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こんにちは
今回は、司法試験の問題に近い長文事例問題を掲載している答案例付きの問題集『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問-』を紹介したいと思います。
司法試験一発合格者の私が、受験者目線から『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問-』の良いところやイマイチなところ等の評価をまとめていきます。
司法試験や予備試験の受験を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
なお、司法試験一発合格者の私がおすすめする刑法の基本書や問題集は下記の記事にまとめていますので、そちらの記事も一読して参考にしていただければ幸いです。
関連記事:刑法のおすすめ基本書・参考書・演習書など【司法試験一発合格者が推薦】
Contents
『刑法演習ノート21問』の情報
今回紹介するのは弘文堂から出版されている『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問- 』です!
只木誠先生が編著、北川佳世子先生、十河太朗先生、髙橋直哉先生、安田拓人先生、安廣文夫先生、和田俊憲先生が著者です。
『刑法演習ノート21問 』の特徴と評価
『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問- 』は主に司法試験の受験生を対象とした、長文事例問題の刑法問題集です。
問題の数は合計21問。
オムニバス形式の問題集となっていますので、問題によって解説者が異なり、解説や答案も解説者によってばらつきがあります。
本書の構成は、問題文→解説→答案例(解答例)、という流れになっています。
全ての問題につき解答例が載っているのが本書の特徴の一つ。
問題文は2ページから4ページくらいで、少々長めで複雑な問題が多くなっています。
問題の内容については、刑法総論と刑法各論のいずれの問題も満遍なく出題されており、両者が織り交ぜられた問題もあります。
全体的に典型論点を組み合わせたような問題が多いのですが、犯人隠避罪等、予備試験や司法試験的には少々マイナーな分野からも時々出題されます。
試験的に重要度の高い財産犯の問題が一番多いため、その意味では試験向きと言えます。
多くの問題集は分野別に順番に出題するよう構成されている(例えば、刑法総論→刑法各論の順)のですが、本書は刑法の体系にこだわらずにランダムに問題が構成されています。
本書の問題のレベルは、めちゃくちゃ難しいわけではないのですが、刑法初学者が手を出すには少しハードル高め。
刑法中級者~上級者向けの問題集といった感じでしょうか。
司法試験でも出題されるような長文の事例問題が掲載されていますので、少し短めの事例問題が出題される予備試験よりも司法試験向きの問題集となっています。
『刑法演習ノート21問 』の良いところ
ここからは『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問- 』の良いところについてまとめていきたいと思います。
解答例が全ての問題に付いている
『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問-』の一番良いところは、21問全てに解答例が付いている点です。
学者執筆の問題集で解答例が付いているものは比較的少ないので、受験生にとってはかなり使えますね。
本書の解答例と自分の考えた解答筋を比較することで、検討事項や論点を落としていないか、定義や規範をきちんと答案に反映できているのか、といったことを確認できます。
ただ、後述するように、本書の解答例の中にも多少のばらつきがみられますので、解答例の中から「これは良い!」と思えたものの書き方などを特に参考にするのが良いかと思います。
幅広い分野(罪名)からの出題
『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問-』の良い点として、出題分野(罪名)の幅広さがあります。
基本的には、司法試験や予備試験で出題の多い財産犯の問題が多いのですが、犯人隠避罪や収賄罪など、あまり司法試験や予備試験でお見受けしないような少しマイナーな分野の問題もあります。
マイナーな罪名は出題可能性は低いのですが、いざ出題された際に何も書けないとなってしまうと悲惨なことに、、、
本書でマイナー分野に少しでも触れておくと、本番で出題されたときに備えられるため安心できますね。
司法試験向きの長文事例問題
『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問-』の特徴的なところは、かなりの長文かつ複雑な事例問題が収録されているという点です。
新司法試験では、長文事例問題に対する事例処理能力が強く問われている側面がありますので、その意味では、非常に司法試験向きの問題となっていると言えます。
本書では一つの問題の中に多くの論点を含ませているため、事案分析能力、論点抽出能力といった事例問題を解くために必要な思考法を身に付けるにはぴったりです。
※ただし、直近の司法試験(刑法)では出題傾向が変化しており、事例問題の処理よりも個々の論点の理解度を問うような問題が増えています。司法試験対策として本書に取り組む意義も多少薄れてきているかもしれない、、、という印象があります。
『刑法演習ノート21問 』のイマイチなところ
ここからは『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問- 』のイマイチなところについて書いていきます。
解説や答案例の質にばらつきがある
『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問-』は問題ごとに異なる複数の学者が解説していますので、問題によって解説や答案例にばらつきが見られます。
解答例でいうと、「定義→あてはめ」という流れに沿ったものもあれば、答案の型を崩して作成されたものもあります。
前者の解答例は予備試験や司法試験受験生が内容のみならず答案の形式も参考にできるのですが、後者の解答例は内容を参考にする程度にとどまります。
このように、問題によって、受験生にとってどれほど参考になるのかという点にばらつきがある点が残念なところではありますね。
答案の書き方を学習するなら『伊藤塾試験対策問題集(刑法)』等の予備校が出版している問題集の方が向いていますので、本書ではあくまで解答例を見て論点への理解度を深めるようにするのが良いと思います。
学説理解を問う問題に対して有効ではない
先でも少し触れましたが、直近の司法試験の論文試験刑法科目では出題傾向に変化がありまして、個々の論点理解度を問うような問題へと変わってきています。
今までは、長めの事例問題に対して複数の論点を抽出し答案を作成するタイプだったのですが、現在は、一つの論点が問題となるものに対して、複数の見解を論じさせるタイプの問題になっています。
前述の通り『刑法演習ノート-刑法を楽しむ21問-』は長文事例問題を扱った問題集ですので、前者のタイプの問題に対しては非常に有効な対策本になり得ます。
一方で、直近の司法試験刑法科目のように、一つの論点について複数の立場を書かせる後者のタイプの問題に対しては効果がイマイチな面があることは否めません。
学説理解を問うような直近の司法試験に対してあまり有効ではないというのは、受験生にとっては残念ところですね。
『刑法演習ノート21問 』はこんな人におすすめ
・長文の事例問題の処理が苦手な人
・司法試験本番クラスの事例問題に挑戦したい人
・答案例付きで詳細な解説の問題集を求めている人
・司法試験受験生