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こんにちは
今回紹介するのは『読解 民事訴訟法』という民事訴訟法の参考書です!
後述する通り、本書は民事訴訟法の重要テーマの解説をメインにしている参考書です。
民事訴訟法を学習している方には、ぜひこの書評を参考にしていただければ嬉しいです。
なお、過去の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜
『読解 民事訴訟法』 勅使川原和彦著 有斐閣
今回紹介していくのは有斐閣から出版されている『読解 民事訴訟法』です!!
読解 民事訴訟法 |
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勅使川原 和彦 有斐閣 2015-02-26
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著者は早稲田大学大学院法務研究科教授の勅使川原和彦先生です。
新司法試験考査委員や司法試験予備試験考査委員も歴任していたようです。
『読解 民事訴訟法』の評価と特徴
『読解民事訴訟法』は、民事訴訟法を学んでいる学生の質問に答えるというコンセプトで作られた論点解説型参考書。
そのコンセプト通り、弁論主義、確認の利益、既判力、一部請求論、補助参加の利益、固有必要的共同訴訟など、司法試験や予備試験でも出題の頻度が多い重要論点の解説に特化されています。
教科書的な淡々とした説明がなされている部分もあるのですが(控訴・上告に対する判決の一部など)、大部分は重要論点を深く解説しています。
なので、司法試験や予備試験の論文対策にぴったりなものになっています。
特に民事訴訟法はあえて判例とは異なる立場で論述させる問題だったり、学説の対立に則った議論をさせる問題などが出題されることが多いので、論点に対する深い理解が求められる科目です。
その意味で、本書で論点部分の判例や学説の対立について深く理解ができると論文試験でも役に立つのではないかと思います。
論文試験に役に立つ部分として、例えば「こんな答案は良くない、その理由は……」といったことが書かれている部分もあり、自分が答案起案する際に気をつけるべきことがわかったりもします。
一方で、短答試験に対してはあまり効果的ではないです。
その点からすると、本書は予備試験受験生よりも司法試験受験生の方にお勧めできる参考書ですね。
本書のレベルとしては、なかなか難易度が高めで読むのはハードかなとおもいます。
扱っている内容自体も難しいものが多い上に、それをさらに高度に解説しているため、おそらく初学者の方だと着いていけないと思われます。
さらに、所々記載されているコラムやAdvancedの部分ではより細かいところまで解説がされていたりするので、民事訴訟法についてしっかり学習が進んでいる方にオススメしたいですね。
というわけで、本書は基本的には中級者以上向けの参考書と言えます。
ただ、解説自体はすごく論理的で、今までふわっと理解していたことが「なるほど!」という感じで深い理解に変わるような内容になっているので、民事訴訟法を勉強した方は一度読んでみるのもアリですね。
民事訴訟法の参考書で本書のように重要論点の解説に焦点を絞ったものは少ないので、そういう点ではかなり学習者にとってありがたい内容だと思います。
『読解 民事訴訟法』の良いところ
・重要論点の解説が盛りだくさん
前述しましたが、『読解 民事訴訟法』は参考書が少ない(と思われる)民事訴訟法の中でも珍しい重要論点の解説に特化した作りの参考書です。
民事訴訟法の学習を進めていくと、学説や判例の理論をなかなか理解できない時があると思いますが、そんな時に本書で論点部分の解説を読むと非常に学習の参考になります。
とにかく解説が詳細で、例えば裁判上の自白における不要証効と裁判所(当事者)拘束力の関係など、何となく気になっていたけど無視していたような事項について説明が書かれているので、かなり勉強になる参考書です。
民事訴訟法を勉強したけどなんか理解がふわふわしているなぁ、と感じている人は本書を読むと新しい発見があるかもしれません。
・判例を丁寧に解説
本書では重要論点の判例が随所に引用されているのですが、その判例もただ引用されるだけでなく、他の判例と組み合わせて判例の射程や論理構造を解説していたりするので、非常に判例の理解が深まります。
もちろん、その判例に否定的(肯定的)な学説も紹介・解説されているので、本書を読めば論点に対する理解はかなり深まると思います。
民事訴訟法では判例と学説の理解が非常に重要になるため、本書でしっかり理解できるとかなり安心できますね。
・イラストや表が随所に差し込まれている
『読解 民事訴訟法』ではイラストや表でまとめが作られたりしていて、なるべく分かりやすくするための工夫がなされています。
文字だけだと目や頭がすごく疲れますし、イラストがあるとイメージ的にも理解できるので、なるべく読みやすくしようという意思が感じ取れます。
項目によっては解説のまとめが最後に記載されていたりもしますので、かなり読者への配慮がされているのもポイントです。
『読解 民事訴訟法』のイマイチなところ
・論点の網羅性に欠ける
重要論点の解説に特化しているのですが、全体で15講あり、その内既判力や固有必要的共同訴訟などは2講ずつ使われていたりと、扱っている論点に偏りがあったりします。
また、例えば基準時後の形成権行使や独立当事者参加など、本書では扱われていない重要テーマなどもあるので、論点網羅性には欠けるところがあります。
もっとも、学生がよく質問することを中心に解説した参考書ということですし、全ての論点について本書ほど深い議論が記載されていると膨大な量になってしまうので、仕方がないのかなぁと思いますね。
重要論点の深い解説の代償といったところでしょうか。
・内容が高度で読むのに時間がかかる
『読解 民事訴訟法』は「わかりやすく、でも噛み応えも」ある作りにしているようですが、確かに噛み応えはすごくある一方で分かりやすいかと言われると……なんとも、といったところ
もちろん、学習が進んでいる人が読めば今まで理解が浅かったと思い知らされたり新しい理解があったりと、非常に分かりやすくて勉強になります。
しかし、初学者でも理解できるという意味での「わかりやすさ」はないのかなと思います。
やはり初学者や民事訴訟法を学び始めて間がない人にはかなり難しい参考書ですね。
こんな人におすすめ
・民事訴訟法の理解がふわふわしている人
・民事訴訟法の重要論点を深く解説した参考書を探している人
・既判力など重要テーマに強くなりたい人
・民事訴訟法、中上級者以上
読解 民事訴訟法 |
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勅使川原 和彦 有斐閣 2015-02-26
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