書評(民事訴訟法)

【書評】『合格る判例(うかる判例)民事訴訟法』〜判例百選よりも薄めの周回向き判例集〜

(この記事はプロモーションを含みます。)

こんにちは

今回は『合格(うか)る判例〈3〉民訴』について、評価と特徴をまとめて書評を書いていきたいと思います。

予備校出版の判例集なので、『民事訴訟法判例百選 第5版 (別冊ジュリスト 226)』が重い(解説など)と感じる方にはとてもお勧めできます!

民事訴訟法の判例集をお探しの方には、ぜひ本書評をご参考にしていただけると嬉しいです。

なお、過去の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ぜひご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜

Contents

『合格る(うかる)判例 民事訴訟法』 辰巳法律研究所

今回紹介するのは辰巳法律研究所から出版されている『合格(うか)る判例〈3〉民訴』です!!

合格(うか)る判例〈3〉民訴
辰已法律研究所 辰已法律研究所 2017-04-01
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『合格る(うかる)判例 民事訴訟法』の評価と特徴

『合格る判例 民事訴訟法』は法律予備校の一つ、辰巳法律研究所が出版している判例集です。

『合格る判例』シリーズとしては以下のものが出版されています。

・『合格(うか)る判例〈1〉行政法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)
・『合格(うか)る判例〈2〉商法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)
・『合格(うか)る判例〈3〉民訴
・『合格(うか)る判例〈4〉刑訴

※『合格(うか)る判例〈2〉商法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)』についても書評を書いているのでご参照していただけると嬉しいです。
▷▷▷【書評】『合格る判例(うかる判例) 商法』〜短時間で会社法の判例をザッと確認できる〜

『合格る判例 民事訴訟法』の特徴を一言で表すと、解説が非常に簡潔で読むのに時間がかからないのが特徴的な判例集

本書の構成としては、

最重要判例17

重要判例42

 

合計59判例が収録されています。

内容としては、

「最重要判例」については、争点➡︎事案➡︎判旨➡︎解説➡︎判例の射程(関連判例)➡︎参考論証例
「重要判例」については、争点➡︎事案➡︎判旨➡︎解説

 

という流れになっています。

司法試験や予備試験で頻出の事項(既判力や訴えの利益)が特にセレクトされており、試験を見据えた判例学習が可能です。

 

最重要判例には通常の判例解説の他に、判例の射程についての解説判旨を素材とした参考論証がついています。

 

民事訴訟法は判例の射程について考えさせるような問題が出題されることも多く、判例のポイントをしっかり押さえる必要があるので、判例の射程について解説されているのは非常に有益

 

また、参考論証は判例の流れを論証の形でチェックできるため、こちらも試験のことを考えると非常に良いです。

 

残念なのは、判例の射程の解説と参考論証は最重要判例に指定されている17個にしか付いていないところ。

 

なので重要判例について解説等を含めて詳細に学習したい方は、これらの点を『民事訴訟法判例百選 第5版 (別冊ジュリスト 226)』等、他の書籍などで学習する必要があります。

 

『合格る(うかる)判例 民事訴訟法』の良いところ

試験的に重要な判例を抜粋している
『合格る判例 民事訴訟法』の一番の特徴は試験に重要な判例のみを抜粋して解説しているということです。
上位ロースクール出身や予備試験合格者で司法試験合格者が厳選しているため、かなり試験を意識した判例選びとなっています。
参考論証がついていたり適宜図解やイラストで補完されているところも、試験対策向きの判例集と言えるポイントです。
短期間で周回読みが可能
『合格る判例 民事訴訟法』では、判例が厳選されていることや解説が短いことによって、かなり短時間で読了することができるボリュームに抑えられています。
使い方によっては民事訴訟法の学習をかなり効率良くできるので、短時間で判例を学習したい方にオススメです。
特に、学者執筆の基本書や判例集が難しくて分かりにくいと悩んでいる方は一度『合格る判例(うかる判例)民事訴訟法』を使用してみると良いかもしれません。
試験的に重要な判例のみを短期間で確認するという使用方法に向いた判例集です。

 

『合格る(うかる)判例 民事訴訟法』のイマイチなところ

全体的に解説が薄くて、ほぼ無いような判例もある(特に重要判例)

 

『合格る判例 民事訴訟法』は全体的に解説が薄いです。
最重要判例は判例の射程や関連判例も紹介されるなど、そこそこしっかりと解説されるので問題ありません。
しかし、重要判例については解説が数行で、判例によってはほぼ解説がないに等しいもの(例えば、判旨を軽くまとめるだけのようなものなど)もあります。
単純に簡単な事案と判旨を知るだけなら良いが、これでがっつり勉強するというのは難しいかもしれません。
特に民事訴訟法は判例と学説の対立が激しい論点や判例の射程が大切になるので、解説はしっかり読み込みたい科目でもあります。
なので、本書を使用するなら民事訴訟法の学習というよりも判例の確認用としての使用がおすすめ
網羅性には欠ける判例集

 

『合格る判例 民事訴訟法』は判例百選と比較すると掲載判例が半分以下になっているので、民事訴訟法の各分野についての網羅性には欠けます
既判力や訴えの利益などの論述試験で重要な論点は多く掲載されていますが、それ以外の比較的マイナーな判例は少なく、満遍なく勉強したい方には向かないでしょう。
一方で、重要な判例だけをさらっと確認したいという方にはお勧めできます
予備試験の短答対策としては不十分

 

『合格る判例 民事訴訟法』では、判例の数をかなり絞っているため短答知識の習得には向きません
短答試験には判例知識を問うような設問も多く出題されるため、少しは役に立つかもしれませんが、本書で合格レベルの判例知識を身につけるほどはカバーできないので、短答を考えるのであれば素直に判例百選等を使用した方が良いと思います。

 

『合格る(うかる)判例 民事訴訟法』はこんな人にオススメ

・短期間で重要判例を確認する用の判例集を探している人
・民事訴訟法判例の射程についての解説が読みたい人
・民事訴訟法中級者

・判例百選よりもシンプルな判例集が好みの人

なお、本書以外の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ぜひご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜

 

合格(うか)る判例〈3〉民訴
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