書評(会社法)

【書評】『合格る判例(うかる判例) 商法』〜短時間で会社法の判例をザッと確認できる〜

(この記事はプロモーションを含みます。)

こんにちは。

今回は予備校が出版している判例集、 『合格(うか)る判例〈2〉商法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)』の書評を書いていきたいと思います。

司法試験や予備試験を受験する予定の方で、会社法の判例に強くなりたいという方は、この記事で本書の感想や評価をまとめていますので、ぜひご参考にしていただけたらと思います。

なお、過去の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜

Contents

『合格る判例(うかる判例) 商法』 辰巳法律研究所出版

今回紹介するのは、辰巳法律研究所から出版されている、『合格る判例(うかる判例) 商法』です!!

合格(うか)る判例〈2〉商法 (司法試験・予備試験・法律系試験向け)
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『合格る判例(うかる判例) 商法』の評価と特徴

 

今回紹介するのはその内の一つ「商法」です。

上位ロースクールの司法試験合格者が厳選した会社法の重要判例のみ載せている判例集。

おそらく司法試験受験生や予備試験受験生の中で、判例集といえば『会社法判例百選 第3版 (別冊ジュリスト 229)』がダントツで使用率が高いと思いますので、予備校出版の判例集というのは珍しいかもしれません。

でも、『合格る判例(うかる判例) 商法』を『判例百選』と並行して利用する人もいますし、意外と人気があるというところです。

 

『合格る判例(うかる判例) 商法』は予備校本らしく、司法試験や予備試験などの法律試験で重要な判例を厳選していて、論証例まで付いています

 

最重要判例」と「重要判例」の2部構成

 

「最重要判例」は27判例
「重要判例」は39判例
合計66判例が収録されています。

 

収録判例の分野については、基本的には株主総会・取締役・取締役会・組織再編の分野から選ばれた判例が多いです。
その他、会社法総則・設立・株式の分野の判例も数は少ないですが収録されています。

 

商法総則・商行為や手形法の判例は全く収録されていません。

 

なので、商法というよりは会社法の判例集という認識が正しいと思います。
本書の構成は、
最重要判例」については、争点➡︎事案➡︎判旨➡︎判例のポイント➡︎判例の射程(関連判例)➡︎参考論証例
重要判例」については、争点➡︎事案➡︎判旨➡︎判例のポイント
という流れになっています。

 

司法試験の対策として判例学習をするなら、本書のみでは不十分かなぁというのが正直なところなので、やはり本書を使う場合でも会社法判例百選 第3版 (別冊ジュリスト 229)』も合わせて使用した方が良いかと思います。

 

個人的には判例集は『判例百選』を中心に使いつつ、本書を試験前の短時間での総確認用として使うと良いですね。

 

また、判例知識以外に論点についても当然学習する必要がありますので、『会社法 第4版 (LEGAL QUEST)』『会社法』などの基本書や『事例で考える会社法 第2版 (法学教室ライブラリィ)』などの問題集を使って基礎知識を身につけましょう。

 

辰巳法律研究所からは『趣旨・規範ハンドブック〈2〉民事系―司法試験/予備試験ロースクール既修者試験』などの参考書や『Newえんしゅう本〈4〉民事系商法』などの演習本も出版されていて、司法試験受験生の中では使っている人もかなり多いので、合わせて使用するのもおすすめです。

関連記事: 【書評】『Newえんしゅう本〈4〉民事系商法』〜短期間に多数の問題に触れられる問題集〜

 

『合格る判例(うかる判例) 商法』の良いところ

 

商法の重要判例を短時間でざっと確認できる

 

本書は重要判例のみを厳選してまとめているので、重要判例を一通り読むのは非常にラクです。
解説もサラッとした程度に留められていますし、判旨も基本的に必要部分のみが引用されています。なので、複数の判例をテンポよく確認することができます
試験前や直前期などの勉強時間をたくさん確保できない時に、重要判例だけをざっと確認するという使用方法が良いと思われます。

 

判例百選に載っていない判例や裁判例も扱っている

 

本書は合計66判例と判例百選と比べると非常に少ない数に厳選されています。
しかし、判例百選には載っていないけど重要な判例も掲載していたり、地裁レベルの裁判例も掲載されていたりと、意外といろんな判例に触れられます
解説の中で関連判例として取り上げていたりする場合もあるので、判例に触れるという意味合いでは有益だと思います。

 

参考論証例が付いている(最重要判例のみ)

 

本書は辰巳法律研究所という法律予備校が出版しているだけあって、最重要判例のみではありますが参考論証例が付いています
判旨を答案の際の論証の形式に直したもので、答案をイメージしながら判例を読むことができるので、この点は試験対策としてはかなり有益です。
重要判例部分についても参考論証が付いていればもっと良かったのですが、まぁそれは高望みしすぎでしょうか。
判例と論証をセットで学習できるというのが本書の良い点ですね。

 

『合格る判例(うかる判例) 商法』のイマイチなところ

 

解説が非常に薄い
本書の解説はほとんどが1ページ程で収められています。
なので、本書の使い方としては基本的に判例(判旨)を確認していくだけかと思います。
判例を短時間でざっと確認できるのは良いのですが、ある程度知識がある人じゃないとなかなか使いこなせないのではないかと思います。
初学者の方はまずは『会社法 第4版 (LEGAL QUEST)』などの基本書を使って基礎知識を身につけることを優先しましょう。

 

使い方が難しい

 

個人的には本書は使い方が難しいのかなぁと感じました。
初学者が使うには解説が足りないので本書ではなかなか勉強にならないかもしれません。
一方で、中級者以上の方にとっては、本書掲載の判例だけでは物足りないかもしれません。
なので、本書の使用方法としては、基本的には、重要判例だけをさらっと確認したい中級者の方が使うのが良いかと思います。

 

こんな人におすすめ

・判例百選より軽めの判例集を探している人
・試験前に短時間でざっと判例を確認したいという人

・試験向きに作られた判例集が欲しい人

その他の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜

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