書評(労働法)

【書評】『事例演習労働法 第3版』〜司法試験受験生に定番の労働法問題集〜

(この記事はプロモーションを含みます。)

こんにちは

今回は、司法試験の労働法選択受験生におすすめしたい問題集、『事例演習労働法』について特徴評価をまとめて書評を書いていきたいと思います。

労働法を含めて、司法試験の選択科目は憲法や民法などの基本科目よりも問題集等の数が少なくて悩むこともあるかと思いますが、その中でも労働法の問題集として人気の高いものが『事例演習労働法 第3版』です。

司法試験の選択科目を労働法にしようと考えている方には、ぜひ本書評の内容を参考にしていただければ幸いです。

 

Contents

『事例演習労働法 第3版』 有斐閣

今回紹介していくのは、有斐閣から出版されている『事例演習労働法』です!

東京大学教授の水町勇一郎先生と南山大学教授の緒方桂子先生の編著となっています。

『事例演習労働法 第3版』の特徴と評価

『事例演習労働法』は前述したように、司法試験受験生の労働法選択者に好んで使用されている問題集です。

労働法の問題集は(他の選択科目よりは多いとはいえ)数自体はそこまで多くないので、その中で多数の問題を扱っている本書は、試験対策用として人気があります。

特徴は問題数の多さ。

Unit1〜Unit23まであり、その中でさらにCase1、2という感じで複数の設例が用意されています。

なので問題の合計数は50ほどにもなりまして、普通に問題を解いていくだけで労働法のかなりの論点に触れることができるという網羅性があります。

ただ、解説が非常に短くあっさりしているので、例えば労働法初学者が本書を使用する場合にはあまり力がつかないかもしれません。

一方で、問題の数が多くて短い解説で大まかな解答筋を示しているので、事例問題から労働法の論点抽出の力を鍛えるにはぴったりです。ということで、ある程度労働法をしっかり学習した人が論点を的確に抽出できるかを確認するための問題集として非常に使えます。

なので、本書の使い方としては自主ゼミを組んで答案を作成してみたり、自分自身で答案を作成して論点を落としていないかを確認するという感じがいいと思います。

問題のレベルは、比較的短めの設例が多いですが、少し長くて難しめの問題もありますので、全体としてはかなりバランスの良い難易度の問題集

ちなみに、本書の問題については、予備校講師の加藤喬先生(司法試験労働法1位合格者)がブログ内で、司法試験の労働法科目との関係で各設例を重要度に応じてランク付けしています

また、加藤先生による『事例演習労働法』を使用した問題演習講座もありますので、ぜひ加藤先生のブログもチェックしてみてください。

なお、加藤喬先生は資格スクエアで司法試験受験生向けの講座を担当されています。非常に評判が良い講座なので、気になる方は資格スクエアの公式サイトからご確認してください。

>>>資格スクエアの公式サイトで加藤喬先生の講座を確認する

 

『事例演習労働法 第3版』の良いところ

ここからは『事例演習労働法』の良いところを簡単に挙げていきます。

稀に見る問題数の多さ

「稀に見る」と表現するのは言い過ぎ感もありますが、少なくとも学者が編著となっている問題集の大半が多くて20〜30問となっている中で、『事例演習労働法』では50問近い問題を扱っているのですから、かなり問題数が多い演習本であることは間違いありません。

たくさんの論点に触れたい、試験で論点落としを防ぎたい、というような論点抽出力に不安を抱えている人には非常にお勧めできる問題集です。

あとは、試験前(司法試験や学部・ロースクールの定期試験など)の総確認用の問題集としても有用

 

問題の難易度のバランスが良い

少し触れましたが、『事例演習労働法』の各設問の難易度のバランスは非常にいい具合に設定されています。

非常にシンプルで簡単な問題もあれば、少し事案が長くて答案の書きにくい問題もあったりします。

本書の問題をきっちりと解いていけば、どの論点の理解が足りていないのかなど自分の労働法の実力を浮き彫りにすることができます

なので、司法試験等の試験前の実力試し、かつ、底上げとして使うと良いかと思います。

 

問題集の消化に時間がかからない(周回向きの問題集)

『事例演習労働法』はかなり周回向きの問題集だと思います。

全体としては300ページ以上あるのですが、解説は論点と結論の方向性をコンパクトに示していますし、設問も多岐に渡ります。

労働法の問題の千本ノックを受けるような感覚で、多数の設問に触れながら短時間で何度も解いていくという使い方をすることができます。

一度自力で答案を作成してみて、その後にその答案を使用しながら何度も何度も解き直していくとかなり力が付くと思います。

 

『事例演習労働法 第3版』のイマイチなところ

ここからは『事例演習労働法』のイマイチなところを挙げていきます。

解答例が付いてない(答案の作成に悩む)

ちょっと残念に感じる点としては、『事例演習労働法』では解答例は付いていないということです。

各設問ごとに、関係する論点は示してくれているので、自分で答案を作成する際に論点抽出ができているのかを確認することはできます

ただ、いざ答案を書くとなると、やはり参考解答例は欲しいところ。

解答例まで付けてしまうとボリュームも多くなってしまいますし仕方がないのですが…

解答例付きの問題集の方が良いという方は『労働法演習ノート』を使用した方が良いかもしれません。

ちなみに、加藤喬先生の講座を利用すれば、参考解答例も確認することができます。(加藤喬先生のブログを参照してください)

 

解説が非常にシンプルで短い

この点は良いところでもありイマイチなところでもあるのですが、解説がシンプルすぎるというのは(特に初学者には)マイナスと言えるかもしれません。

事例問題に関係する論点と一応の規範や考慮要素を示しているのですが、例えば設例の中での当てはめで使える事情だったりあてはめを書く際に着目すべきポイントの指摘だったりはあまり多くないです。

じっくり腰を据えて労働法の理解を深める、というようなタイプの問題集ではありません

自分が事例問題の中から論点をピックアップできるのか、という点を確認するタイプの問題集なのでそのような認識を持っておいた方が良いと思います。

 

各設問で重複論点が多い

問題数が多いゆえにというところでしょうか。時折、重複論点が出てくることがあります。

例えば、整理解雇は複数の問題で現れますので、判例の規範(考慮要素)も解説で何回も触れることになります。また、賃金の相殺も複数回出てきます。

重複論点があると復習になるので、良い点とも言えるかもしれません。が、やはりたくさんの問題に触れたいと考える方にとっては、なるべく異なる論点の問題を解きたいと感じることもあるかもです。

 

集団的労使関係(労働組合法)の問題が少なめ

問題のバランスとして少し感じるのが、労働組合法関連の問題がやや少なめなのかなぁというところです。

全体の20〜30%くらいにとどまりますので、集団的労使関係の問題をたくさん解きたいという方は他の問題集も併せて使用した方が良いと思います。

それでも、全体としては問題数の数が多いので、主要な論点は十分触れることができます。それに、集団労使関係の問題はそもそも論点が少ない傾向にあります。

なので、労働組合法の問題の数についてはそこまで気にしすぎるような点ではないかもしれません。

 

『事例演習労働法 第3版』はこんな人におすすめ

・司法試験受験生(労働法選択者)

・法科大学院生

・労働法中級者以上

・問題数の多い労働法問題集を探している

・自主ゼミ用の労働法問題集を探している

司法試験受験生(労働法選択者)には定番の問題集なので、非常にお勧めできます。『事例演習労働法』が気になった方は購入を検討しても良いと思います。

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