(この記事はプロモーションを含みます。)
こんにちは
今回は労働法の演習書の中でも人気の高い『労働法演習ノート』について特徴や評価をまとめて書評を書かせていただきます。
司法試験選択科目は問題集がそれほど多くはないのですが、それでも労働法は結構ありますので、司法試験受験生のうち労働法選択など労働法学習者の方は労働法の問題集探しに悩むかも知れません。
『労働法演習ノート』はかなり人気のある問題集ですし、実際に内容も優れているのでかなりおすすめできます。
労働法の問題集探しに困っている方は、ぜひ本記事の書評を参考にしていただけると幸いです。
Contents
『労働法演習ノート・・・労働法を楽しむ25問』 弘文堂
今回紹介するのは弘文堂から出版されている『労働法演習ノート』です!!
各大学の准教授と弁護士が中心の著者となっています。編著は神戸大学大学院法学研究科の大内伸哉先生です。
『労働法演習ノート』の特徴と評価
『労働法演習ノート』は「演習ノートシリーズ」の労働法の問題集です。
「演習ノートシリーズ」は憲法や刑法といった法律基本科目のうち一部の他、租税法や経済法や知的財産法など、司法試験選択科目についても扱っています。
ただ、基本科目については刑法と憲法と民法(家族法)だけなので、メインとなるのは司法試験選択科目と言えるかも知れません。
「演習ノートシリーズ」全体の特徴でもあり、『労働法演習ノート』についても当てはまるのが各問題(関連問題を除く)に解答例が付されているという点です。
答案例付きの労働法問題集という点が司法試験受験生の『労働法演習ノート』人気を高めている要因になっているものと思われます。
ただ本書の解答例は少々長い(問題文が長いという理由がありますが)ので司法試験の労働法科目の対策として考えている場合には、もう少しコンパクトな記述を考える必要があるかとは思います。
解答例の中では、考慮要素を丁寧に挙げていたり規範を記載していたりと自分の答案作成に流用できる部分がたくさんあります。
さらに、当てはめもかなり丁寧に問題文の事実を拾って書かれていますので、目指すべき答案のイメージも掴みやすくなっています。
本書の問題数は表紙に記載されている通り25問なのですが、各問題の解答例の最後に必ず関連問題が2、3問付されています。なので、問題の数だけでいうと、50問ほどになります。
ただし、関連問題には残念ながら解説も解答例も記載されていません。参考になる判例が示されているだけなので、自力で判例を確認して考える必要があります。
問題のレベルは割と難しめのものが多いですし、どの問題もかなり長文で負担は大きい。
登場人物も多くてちょっとややこしいので、割と時間をかけて解く必要性があります。
本書の解説は、問題文についての解説というよりも、問題文に関わる労働法の論点について個々に解説されます。場合によっては、関連する論点についての説明もなされます。
しかし、問題文の具体的な結論等は解説ではほとんど触れることはなく、そのような問題文の具体的内容については解答例をみて学習することとなります。
『労働法演習ノート』は労働法の問題集の中でも、司法試験受験生や法科大学院生の人気がかなり高い問題集なので、特に解答例付きの問題集が好みの方にはおすすめできます。
労働法の問題集で人気なものは他に『事例演習労働法』がありますが、『事例演習労働法』は本書とは真逆で解答例なし・解説が非常にシンプル・問題が短いという特徴があります。
『事例演習労働法』も『労働法演習ノート』も司法試験受験生や法科大学院生に人気(この2つの問題集のいずれかまたは両方を使用している人が圧倒的に多い)なので、労働法学習者はこれらをチェックしておけば大丈夫だと思われます。
『事例演習労働法』については下記の記事で書評を書いていますので、そちらも参考にしていただければ嬉しいです。
関連記事:【書評】『事例演習労働法 第3版』〜司法試験受験生に定番の労働法問題集〜
『労働法演習ノート』の良いところ
ここからは『労働法演習ノート』の良いところを簡単に挙げていきます。
解説の最後に詳しい解答例がついている
『労働法演習ノート』の一番の魅力は、各問題に解答例がついていることでしょう。
しかも、この解答例がかなり詳細でして、要件や考慮要素をしっかり上げて規範も定立しているのはもちろんのこと、当てはめもかなり多くの事実を拾っている充実ぶりです。
少々長すぎるかな…という感も否めませんが、学習者が司法試験や法科大学院などの定期試験で答案を書く際の参考にするには十分すぎます。
解答例付きの問題集は(予備校出版のものでない限り)希少なので、各大学の教授が直々に作成された答案を読むことができる点でかなり魅力的な問題集と言えます。
ストーリー仕立ての面白い?問題文
『労働法演習ノート』の問題文はかなり特徴的で、ストーリー仕立ての内容になっていることや登場人物に名前が付けられていることなど、かなり具体的にイメージしやすいものとなっています。
問題文を読んでいると「うわぁ…嫌な会社だなぁ…」と思ってしまうようなこともあるくらいに、物語チックな事実が記載されています。
人によっては「無駄に長々と事実を書かないでくれ」と言いたくなるかもしれませんが、問題文の事実を理解しやすくなっているという意味で本書の良いところと言えるでしょう。
解説では裁判例まで紹介されている
本書は解答例だけではなく、解説も詳しめに書かれています。
問題文とは直接関係はない関連論点にも触れていたり、地裁や高裁の裁判例まで紹介してくれていたりします。
もちろん各論点についての最高裁判例や学説もしっかりと解説されていますし、要件等(例えば労使慣行となる要件や整理解雇の要素)についても丁寧に記載されています。
『労働法演習ノート』のイマイチところ
ここからは『労働法演習ノート』のイマイチなところを挙げていきます。
関連問題には解説も解答例もついていない
先にも触れましたが、『労働法演習ノート』では各問題の最後におまけとして関連問題が載っています。
しかし、この関連問題については解説も解答例も記載されてなく、参考判例が示されているだけなので、それを自分で調べた上で問題の解答を考える必要があるわけです。
しかも、自力で導いた結論が本当に正解筋なのかというのを確認する術は基本的にありませんので、参照判例をもとに自分なりに納得することで終わりとなります。
とはいえ、参照判例を読めばある程度は正解であろう筋は分かると思いますし、そもそも関連問題まで手を出さないという人も多いです。
なので、関連問題に解説などが無い点はそこまで大きなマイナスではないと言えます。
問題数は多くはない
『労働法演習ノート』はメインの問題が25問で、各問題の最後に関連問題がついています。
解説ありの問題でいうと25問なので、それほど多くはありません。
もう一つの労働法の定番問題集の『事例演習労働法』は50問近くの問題が掲載されていて、それぞれにつきシンプルではありますが解説がついています。
多数の問題に触れたい人は『事例演習労働法』の方が合うと思いますが、詳細な解説や解答例に惹かれる人は『労働法演習ノート』の方が良いと思います。
『労働法演習ノート』はこんな人におすすめ
・解答例付きの問題集が好みの人
・司法試験対策になる労働法の問題集を探している人
・長文の問題を解きたい人
・司法試験受験生(労働法選択者)
・法科大学院生
『労働法演習ノート』は労働法問題集の中でもかなり優れたものですし、それを示すかのように司法試験受験生や法科大学院生の使用率も高い人気のある演習書です。解答例が付されているのも非常に魅力的なので、労働法学習者は『労働法演習ノート』を使用することを強くお勧めします。
おすすめ記事
当ブログでは他にも法律学習者に有益となる記事をたくさん書いています。ぜひそちらも合わせて目に入れていただけると幸いです。