こんにちは

今回は『ロースクール演習 刑事訴訟法』の書評を書いていきたいと思います。

個人的には、刑事訴訟法の問題集としてかなりお勧めできるものなので、刑事訴訟法の問題集をお探しの方にはぜひ参考にしていただけると嬉しいです。

『ロースクール演習刑事訴訟法』 亀井源太郎著 法学書院 

今回紹介するのは、法学書院から出版されている『ロースクール演習 刑事訴訟法』です!!

ロースクール演習 刑事訴訟法

亀井 源太郎 法学書院 2014-03-01
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by ヨメレバ


著者は慶應義塾大学法学部教授の亀井源太郎先生です。

『ロースクール演習刑事訴訟法』の特徴と評価


難易度:★★★☆☆
試験向き度: ★★★★☆
オススメ度:★★★★★

『ロースクール演習刑事訴訟法』はロースクール演習シリーズの刑事訴訟法です。
他にも、刑法や民事訴訟法など主要科目は全て揃っています。
ロースクール演習民事訴訟法』についても書評を書いていますのでぜひご覧下さい。
関連記事:【書評】『ロースクール演習 民事訴訟法』〜基本論点中心・多問題型の問題集〜


『ロースクール演習刑事訴訟法』について言うと2014年出版ということもあって、例えばGPS捜査の違法性に関する判例など、超最新の判例は当然触れられていません。

しかし、平成20年くらいの比較的新しい判例は解説でもしっかり触れられているので、そこまで問題があるわけではないです。

古すぎるというわけではないが新しいというわけでもない問題集という感じです。


ロースクール演習シリーズ全てに共通して言えることですが、『ロースクール演習刑事訴訟法』は解説がとても分かりやすくて端的にまとめられているのが特徴的です。
 
解説が長くないのでサクサク読み進めることができますし、それでいて主要判例はしっかり引用されていますので十分学習の役に立ちます
 
もしもより深く学習したいということであれば、問題の素材判例や脚注についている裁判例などを確認すればかなり力をつけることができるかなと思います。
 

問題の内容と数は、捜査16問・公訴3問・公判2問・証拠7問・裁判2問合計30問という構成になっています。
 
司法試験などで最重要となる捜査と証拠を中心に扱っていて、それぞれの問題も試験でよく出題される頻出論点の取り扱いが多いという感じですね。
 
特に、証拠法の問題としては、伝聞証拠関係の問題が5問ほどあるのですが、伝聞証拠は試験で非常に重要になるテーマであるため、受験生からするとかなり有り難いのではないでしょうか。
 
その意味では、かなり試験対策を意識して作られていると評価できます。
 
また、その他も一部の論点(一斉検問など)を除き、試験でよく出題される論点は基本的に網羅しているのは良い点ですね。
 

また、各問題ごとに、問題の後には出題の意図・論点が記載され、解説の最後には答案作成上の注意点が書かれています
 
このように、司法試験や予備試験等の対策として自力で勉強することが容易になるような配慮がなされているため、法律資格受験生などにはとても有益な問題集だと評価できますね。

ただ、解説については、問題に対する当てはめがかなりあっさりした記述になっています。
 
問題がそこまで長くないということもありますが、やはり司法試験等では刑事訴訟法の理論を事実関係に当てはめるのが重要になるため、当てはめが薄いという部分はデメリットであると言えますね。
 
当てはめ力を鍛えるなら『エクササイズ刑事訴訟法』など比較的問題が長くて司法試験等の問題に近いものを使うのが良いのではないかと思われます。
関連記事:【書評】『エクササイズ刑事訴訟法』〜薄くて周回向きの演習書〜 


問題のレベルとしては、そこまで難易度高めというわけではないです。
 
基本的な論点からちょっと細かい議論までバランスよく扱っています
 
問題の長さも1頁〜2頁くらいの事例問題なのでそこまでハードな問題集というわけではないですね。

初学者〜上級者まで問題なく使える問題集なのでかなりお勧めできます。

使い方としては、初学者であれば刑事訴訟法の問題がどのような形で出題されるのかを把握するために、中級者以上であれば重要論点についてさらっと確認・復習するとか答案作成上のポイントを確認するために使うのが良いかと思います。


『ロースクール演習刑事訴訟法』の良いところ



端的で分かりやすい解説
 
『ロースクール演習刑事訴訟法』の魅力的な点は何と言っても端的で分かりやすい解説ですね。
判例をしっかり引用しつつ、主要学説にも触れているので十分学習になります。
ちょっと説明不足じゃないかなぁ、と思うようなところもあるにはありますが、全体として必要最小限の解説はされているという印象です。
問題集の解説としては十分学習の役に立つ内容になっていますし、何より解説を読むのに負担がかからないのが良い点ですね。


重要論点を網羅している

『ロースクール演習刑事訴訟法』では全体で30問、捜査・公訴・公判・証拠・裁判とそれぞれの分野から主要な論点は一通り出題されています。
なので、刑事訴訟法の問題集としては本書1冊でも頻出事項については十分押さえられます
もちろん、司法試験や予備試験の受験生としては、酒巻先生の『刑事訴訟法』などの基本書や『事例演習刑事訴訟法 第2版 (法学教室ライブラリィ)』などの問題集も利用した方がより理解は進むと思うのですが、主要な論点を軽く理解するくらいなら本書でも十分です。


初学者から中級者以上まで幅広く使える

前述した通り、『ロースクール演習刑事訴訟法』は網羅性も高いですし、問題の質も高すぎず低すぎず、ちょうどいい感じの問題集です。
なので、初学者(一通り学んだ人)から中級者以上まで幅広く使えるのではないかと思います。
個人的には、刑事訴訟法の1冊目の問題集に悩んでいるのでしたら、ロースクール演習刑事訴訟法を購入することを強くお勧めします。
おそらく、刑事訴訟法の問題集として人気なものでいうと『事例演習刑事訴訟法 第2版 (法学教室ライブラリィ)』がダントツかと思いますが、同書は内容が高度で理解するにも難易度高めなので初級者には向きません。
それに、司法試験レベルを超えているような内容とも言われますし……
もちろん学習の面から言うとかなりの良書だとは思いますが、とりあえず試験対策を主眼に置くと『ロースクール演習刑事訴訟法』の方が良いのかなと思うところです。


『ロースクール演習刑事訴訟法』のイマイチなところ



あてはめの解説は薄い
 
解説をコンパクトにまとめていることもあって、あてはめ部分はかなりあっさりした記述に留められています。
なので、解説を読んでいざ問題の検討をしようとするとちょっとした悩みが出てくることも……
でも基本的には解説を読めば十分問題に対する解答もできるようになっていますので、解説としては必要十分ではあります。
あてはめ力も鍛えたいという人は、前にもあげた『エクササイズ刑事訴訟法』や司法試験の過去問を自力(あるいは自主ゼミ)で解いてみるのが良いかと思います。


答案例が付いていればより良かった
 
全体として試験でも重要な論点を扱っていますし、答案作成上の注意点が記載されているなど、試験対策としてもかなり高評価できるのですが、残念なところをあげるとすれば答案例が付いていない点でしょうか。
答案例さえ記載されていればより試験対策問題集として評価が高くなるとは思うので、そこはちょっと残念ですね。
まぁ、答案作成上の注意点が記載されていれば十分自力で学習できるので、答案例まで求めるのは高望みしすぎでしょうか……


こんな人におすすめ


・刑事訴訟法を一通り学んだ人
・刑事訴訟法1冊目の問題集を探している人
・主要論点をさらっと確認できる問題集を探している人
・短時間でサクサク回せる問題集を探している人

 『ロースクール演習刑事訴訟法』は刑事訴訟法の問題集の中でもかなり優れていると思いますので、迷っている方には購入を強くお勧めしますよ!!

ロースクール演習 刑事訴訟法

亀井 源太郎 法学書院 2014-03-01
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