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こんにちは
今回は『公法系行政法 (Newえんしゅう本)』について、評価や特徴をまとめて書評を書いていきたいと思います。
予備試験受験生や司法試験受験生で行政法の問題集をお探しの方は、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
なお、過去の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜
『Newえんしゅう本〈2〉行政法』 辰巳法律研究所
今回紹介するのは辰巳法律研究所から出版されている『公法系行政法 (Newえんしゅう本)』です!!
『Newえんしゅう本〈2〉行政法』の評価と特徴
今回はそのうちの『Newえんしゅう本〈2〉公法系行政法』について評価と特徴を書いていきます。
さて、『Newえんしゅう本〈2〉公法系行政法』がどのような書籍か一言でいうと、重要判例と予備試験の過去問を使用した予備校出版の問題集です。
問題数は全40問
その内34問は判例とほぼ同じ事案が問題化されて出題されます。
判例をそのまま問題形式に直したような感じ。
有名判例を使って問題を解くことになるので、問題を解きながら判例の論理を確認することができます。
残りの6問は予備試験(平成23年〜28年)の問題が出題。
このように、『Newえんしゅう本〈2〉公法系行政法』は判例を素材とした問題&予備試験の過去問から成る問題集というわけです。
なので、本書は判例理論の確認用としても使用できますし、予備試験の問題集としても使用できます。
また、問題のパートに入る前(1頁から16頁ほど)に、総論として行政法の答案の書き方について書かれています。
この総論部分では、平成27年の司法試験を題材として、司法試験の出題趣旨や採点実感等を用いながら、行政法の答案を作成するにあたってのポイントが記載されています。
行政法を一通り学習したばかりくらいの人は、問題を解き始める前にまずはこの行政法の答案の書き方について書かれているパートを読むと参考になります。
『Newえんしゅう本〈2〉公法系行政法』の問題のレベルとしては、有名判例の事案をそのまま問題にしているだけなので、それほど難しいわけではありません。
むしろ、すでにある程度学習をしている人にとっては、判例の規範や論理展開を確認するだけになってしまうかもしれません。
もっとも、予備試験の過去問も6問載っているため、その点についてはそこそこの難易度になっていると言えるでしょう。
ただ、予備試験の行政法の問題はそれほど難易度が高いわけでもありませんので、本書のレベルとしては基本的には一通り行政法を学習した初学者〜中級者向けの問題集となります。
問題の内容については、処分性や原告適格といった行政法の超重要論点の問題がそれぞれ7問、3問と多めに扱われています。
一方で、信義則の問題や差止、義務付け訴訟などの訴訟類型についての問題など、それなりの重要度の論点に関する問題も少ないながらも満遍なく掲載されています。
本書の解説はかなりあっさりとコンパクトに済まされています。(だいたい2頁〜4頁)
なので、行政法の知識を深く学習したいとか、未知の事案に対して対応する力を鍛えることには向いていません。
ただ、解説が短いだけあって、すべての問題を消化するのにあまり時間がかからないので、何周も回して利用することで判例をしっかり覚えることに役立つ作りとなっています。
『Newえんしゅう本〈2〉行政法』の良いところ
・判例を中心に問題演習ができる
『Newえんしゅう本〈2〉公法系行政法』ではそのほとんどが判例の事案をそのまま問題化されています。
判例以外の問題は予備試験の過去問6年分のみ。
なので、問題を解きながら判例の立場を確認することができます。
判例を徹底的に学習したいのであれば、アウトプット素材として『Newえんしゅう本〈2〉公法系行政法』を使用するのは良いかもしれません。
・判例を答案化するのに役立つ
『Newえんしゅう本〈2〉公法系行政法』では判例の事案を素材とした問題に参考答案構成が付いています。
参考答案構成は判例の考えを答案形式に引き直したもので、判旨を論証化するのに役立ちます。
おそらくほとんどの方は論文試験で判例の立場から論述していくと思いますので、その点からすると判例を答案化している本書は試験対策として有益です。
・予備試験問題と参考答案構成が付いている
参考答案構成が付いているほか、予備試験の過去問が記載されているのも本書の良いところです。
『Newえんしゅう本〈2〉行政法』のイマイチなところ
・問題集というよりも判例集に近い?
本書は問題演習本ではあるのですが、ほとんどの問題は判例の事案そのままなので、問題集というよりも判例集に近いかもしれません。
なので、未知の事案に対して、論点を抽出して答案を作成していくといった、問題集本来の使用用途には向かないかもしません。
むしろ、問題形式で判例の論理や規範などを確認するという使用法になると思われます。
・解説が薄い&同じ解説の使い回しがある
『Newえんしゅう本〈2〉公法系行政法』の解説は非常に短くなっています。
基本的に2頁〜4頁ほどに抑えられていて、その中で判例の引用や答案を作成する上での注意点などが書かれています。
このように解説が非常に薄く済まされているのに加えて、論点が同じ場合は同じ解説をそのまま使い回していたりします(処分性など)。
なので、本書を使ってがっつり行政法の学習をするというのは難しいかもしれません。
本書は自分の知識をしっかりアウトプットできるのかを確認するために利用するのが良いです。
・学説についてはあまり学習できない
解説があっさりしている点に加えて、本書ではあまり学説の対立に深入りしないようにされています。
有力な学説があるとしても軽く紹介するくらいで済まされているのがほとんどで、基本的には判例の立場を中心に解説されています。
なので、学説の研究をしたい方にとっては物足りないと思われます。
学説よりも判例確認用の素材として使用することを想定すると良いでしょう。
『Newえんしゅう本〈2〉行政法』はこんな人におすすめ
・判例の立場を確認できる問題集が欲しい人
・予備試験の行政法の問題を解説している問題集を探している人
・解説があっさりした問題集が好みの人
・予備試験受験予定の人
・行政法(初級者〜)中級者
なお、その他の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
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