司法修習

司法試験合格者が司法修習前に勉強しておくべきこと|修習前の勉強内容【弁護士の経験を踏まえて】

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司法試験に合格した人は、数か月後に弁護士・裁判官・検察官の法曹三者の実務を学ぶべく、司法修習という研修期間に入ることとなります。

無事、司法修習を乗り切って、ようやく法曹三者になることができるのです。

そんな法律実務家の一歩手前段階にある司法試験合格者は、司法修習が開始するまでの期間に何か勉強する必要があるのでしょうか

本記事では、司法試験に合格し、司法修習を終え、弁護士として活動する私の実体験を踏まえて、司法試験合格者が司法修習開始前に勉強しておくべきことをまとめていきたいと思います。

司法試験に合格して、手持ち無沙汰になっている方は、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。

Contents

①司法試験科目の復習をする

まず、司法試験合格者がやっておくべき勉強として、司法試験科目の復習をあげたいと思います。

「司法試験が終わったばっかりなのに、司法試験の勉強をまたするのか、、、」という気持ちはわかるのですが、修習生活をスムーズに送るためには、司法試験の復習は是非ともやっておきたいところ。

個人的な経験として、復習をせずに修習に突入したせいで、修習中に復習のための勉強時間を確保する必要が生じたので、司法試験科目の知識が頭から抜け落ちないように軽くでもいいので勉強しておくべきです。

司法試験科目の中で特に重要なもの

これから司法修習に臨む司法試験合格者が司法試験の復習をやるべき理由は上記の通りです。

では、司法試験科目の中でも、司法修習において、特に重要になる科目は何か、という点ですが、個人的には、特に、「民法、民訴、刑法、刑訴」は復習するべきだと思います。

 

民法については、司法試験で問われるような民法の判例や条文解釈の知識が起案や二回試験で出題されるため、知識が薄れてしまわないようにしておくことが肝要です。

また、民事裁判修習や弁護修習では民法の知識が一番要求されるので、特に、民法が苦手という人はしっかりと基本を学び直しておくと良いでしょう。

民訴や刑訴については、訴訟手続の流れをしっかり頭に入れておかないと民事裁判や刑事裁判の修習で苦労することとなります。

訴訟手続きについては、司法試験の論文ではあまり出題されないため、知識が薄い人もいると思いますので、簡単にでもいいので、あらかじめ勉強しておくといいですね。

なお、刑訴については、刑事裁判や検察の起案や二回試験の小問で出題されますので、その意味でも勉強しておく価値はあります。

最後に刑法は、刑事裁判修習や検察修習で使用するのはもちろん、検察起案でも必要になります。

検察起案では、刑法の構成要件の定義を書くことが求められるため、特に、刑法各論の基本書等で各犯罪の構成要件とその定義を忘れてしまわないように復習しておくのがおすすめです。

 

司法試験科目の復習に役立つ書籍

司法試験科目の復習に役立つ書籍を紹介していきます。

基本的には、司法試験や予備試験の受験の際に使用していた基本書を読むので十分だとは思いますが、一応私のおすすめを紹介します。

②法律実務に備えた勉強

司法試験に合格して、司法修習に入ると、いよいよ弁護士・裁判官・検察官という法律実務家になるための勉強が本格的に始まります

それぞれの専門的な知識は、実際に実務に出てから勉強するという人もいるとは思いますが、あらかじめ勉強して知識を入れておいたほうがスムーズに実務に入れます

なので、できる限り早めに、実務家としての勉強に着手しておくというのがおすすめです。

 

特に自分の関心のある分野の勉強をしておく

実務家の勉強として何をすればいいのか、という点についてですが、基本的には自分の関心のある分野や将来的に専門として扱いたい分野の勉強をしておくというのが良いです。

司法修習中の民事裁判修習や弁護修習では、自分の気になる分野の事件を見れる機会も多いので、なるべく事前に前提知識を入れたうえで修習に臨んだほうが効果的だと思います。

例えば、弁護士として労働法関連の案件に興味があるなら使用者側・労働者側のいずれかの立場から労働法の勉強をするべきですし、男女問題の案件に興味があるなら離婚等の勉強をするべきですし、刑事事件に興味があるなら刑法や刑事弁護の勉強をするべき。

このように、将来的に自分が取り組みたいと考える分野から、司法修習開始前の期間で勉強するべき内容を決めるといいと思います。

 

実務本のおすすめ

弁護士として活動している私が、入門的な弁護士実務家本の中から、個人的におすすめできると思ったものを一部ではありますが紹介していきます。

司法試験に合格して、司法修習前に何を読もうか迷っているという方は、ぜひ参考にしてください。(法科大学院生や司法修習生の方にもおすすめできます。)

企業法務のための民事訴訟の実務解説

企業法務のための民事訴訟の実務解説』「企業法務」と付いていますが、決して企業法務だけに特化した書籍ではなく、一般民事を扱う弁護士にとっても参考になります

法律相談の段階から始まり、訴訟に至るまで、弁護士の業務の流れに沿って案件処理について丁寧に解説しています。

司法試験に合格して、司法修習という実務家の勉強を開始する段階の方には、1冊目に読むべき実務家本として、非常におすすめできます。

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事例に学ぶシリーズ

事例に学ぶシリーズ』は、各専門分野について、事例を用いながら、弁護士が業務に取り組む流れを丁寧に解説しています。

弁護士実務の入門本としては随一の分かりやすさを誇っているので、これから司法修習に入る人や現司法修習生には、自分の興味のある分野については、手に入れて読んでおくことをおすすめします。

なお、『事例に学ぶシリーズ』は、下記の通り多くの分野について扱っていますので、将来的に関わりたい分野を選んで購入しておくと良いですね。

 

離婚調停

一般民事の弁護士を目指す人や自分の入りたい事務所が離婚案件を扱っているという人におすすめなのが『離婚調停』です。

全体を通して離婚事件の基礎知識を分かりやすく丁寧にまとめていますので、これから離婚事件を勉強する人が最初に読む本としては最適。

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リーガル・プログレッシブ・シリーズ

リーガル・プログレッシブ・シリーズ』はイメージとしては、実務家向けの内容を扱っている基本書といった感じです。

本シリーズは各専門分野で出版されているので、自分の興味のある分野を選択して読んでみるといいと思います。

詳細な解説が特徴的ですが、少々ボリュームがあるので、がっつり勉強したい人以外はさらっと読んでおくだけでもいいかと思います。

書式も充実しているため、その意味でも、持っておくと実務に入った後で非常に便利です。

 

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刑事弁護ビギナーズ

刑事弁護に取り組みたい気持ちがあるなら、絶対に読んでおきたいのが『刑事弁護ビギナーズ』です。

刑事弁護に挑む際には必ず読むことになるくらい定番のマニュアル本です。

司法修習中では、弁護修習中に刑事弁護の実務に触れることがありますが、その際にも参照する人は多いと思います。

司法修習の効果を上げるために、一読しておくと良いかと思います。

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③起案(二回試験)のための勉強をしておく

司法試験に合格した人の次の目標は、司法修習の最後に実施される二回試験に合格することです。

二回試験には90%以上の人が合格するので、普通に勉強していれば大丈夫なのですが、それでも、二回試験に合格しなければ法曹三者になることはできないので、かなりプレッシャーを抱えることとなります。

なので、少しずつでもいいので、司法修習前に起案の対策をしておくと、後々楽になります。

 

修習開始前に読んでおくべき白表紙

司法試験に合格後、少し経つと司法研修所から司法修習の教材がたくさん届きます。

その中でも、二回試験や起案で特に重要になる白表紙がありますので、それを紹介します。

少なくとも、下記のものは読んでおいたほうが良いです。

 

【民事裁判】

・事例で考える民事事実認定

 

【刑事裁判】

・刑事事実認定ガイド

 

【検察】

・検察終局処分起案の基礎

 

【民事弁護】

・民事弁護の手引(訴状や準備書面の記載例部分)

 

【刑事弁護】

・刑事弁護の手引き

司法修習の起案や二回試験では上記の白表紙を読むことが非常に大切になるので、早めに着手しておくと安心です。

 

起案(二回試験)に役立つ書籍

二回試験に合格するというだけであれば、基本的には上記の教材を読んでおけば足ります。

ただ、上記の教材だけでは不安という方や起案や二回試験で好成績を狙いたいという人は、下記で紹介する書籍を手に入れて軽く読んでおくとかなり有利になります。

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④その他、語学や簿記など自分のやりたい勉強をする

最後に、司法試験の合格発表から司法修習までの数か月で、自分の興味のある勉強をやっておくべきだと思います。

司法試験の合格発表から司法修習開始までの数か月間、法律家としての勉強をするのも大事ですが、どうせなら自分の興味のあることも勉強しておいたほうが良いです。

司法修習が開始すると、自分のことに割ける時間は思ったよりも少なかったというのが、個人的な経験。

もちろん、司法修習後、弁護士・裁判官・検察官になってからは、自分の時間がもっと少なくなります。

なので、司法修習開始までの自由期間で、できる限り、自分好きな勉強をしておくのが大切。

個人的には、英会話とか税金の勉強をしておけばよかったなぁ、、、と

自分の将来や興味を考えて、やりたい勉強があるのであれば、修習開始までの期間に取り組んでおくと、「やっておけば、、、」と後悔することも少なくなるかもしれませんね。