(この記事はプロモーションを含みます。)
司法試験に合格した人は、弁護士・裁判官・検察官の法曹三者になるために、司法修習に進むこととなります。
司法修習中には、起案(定期試験のようなもの)が実施され、起案の出来は修習の成績に大きく考慮されます。
また、「二回試験」と呼ばれる司法修習最後に行われる試験もあり、この二回試験に合格できなければ、法曹三者になることはできないので、絶対に落ちたくないところだと思います。
もっとも、起案や二回試験の対策として何を勉強すればいいのか分からないと悩みを抱えている人もいるかと思います。
そこで、本記事では、現在弁護士として活動している私が、司法修習生が起案や二回試験対策として読むべき本をまとめていきたいと思います。
本記事で紹介する本をしっかりと読んで準備すれば、二回試験で躓くことは無いと思いますので、司法修習生や司法試験合格者で修習の準備をしている人は是非参考にしてください。
Contents
【民事裁判】起案や二回試験対策に役立つおすすめ本
まずは、司法修習の科目の内、民事裁判の起案や二回試験で役立つ本を紹介していきたいと思います。
『事例で考える民事事実認定』(白表紙)
民事裁判科目の起案では、主張整理問題・事実認定問題がメインで出題されます。
その他、民法の知識を問う問題も出題されるのですが、一番大事なのは事実認定問題です。
事実認定問題の対策としておすすめできるのは、『事例で考える民事事実認定』通称「ジレカン」です。
民事裁判の事実認定問題の起案の方や思考過程の基礎は「ジレカン」で十分習得可能ですし、二回試験対策としても「ジレカン」を読み込んでおけば足ります。
白表紙の中でまず最初に読むべき本ともいえる一冊ですので、司法修習生は必ず「ジレカン」を読んで理解しておきましょう。
『事実摘示記載例集』(白表紙)
『事実摘示記載例集』は各要件事実の具体的事実を用いた記載例がまとめられている白表紙です。
民事裁判の起案で必要になる主張整理の問いでは、各要件事実について、本書の記載に沿って事実摘示すればよいです。
「ジレカン」とともに、修習生にとって、民事裁判科目の必読本といえます。
二回試験直前になると『事実摘示記載例集』を何度も何度も読むことで、要件事実問(主張整理問)の対策をすることになると思います。
『完全講義 民事裁判実務の基礎(上巻)』(基本書)
請求原因、抗弁、再抗弁という流れで要件事実を整理することが求められる民事裁判の起案。
要件事実の知識が不足すると二回試験に不合格となる危険性があるので、最低限、ロースクールや予備試験で学習した内容を復習しましょう。
個人的におすすめな要件事実の基本書は『完全講義 民事裁判実務の基礎 (上巻)』です。
主要な法的構成の要件事実が事実的事例も併せて掲載されていますし、解説も分かりやすいので苦手という人でも使いやすいため、とてもおすすめです。
『要件事実30講』 or 『要件事実問題集』(問題集)
要件事実の知識が必須というのは前述した通りですが、できれば試験問題に近い形での問題演習もこなした方が二回試験で落ちてしまうリスクを軽減できます。
上記の基本書や白表紙だけでも、二回試験に合格するには十分ですが、余裕を持ちたい人や良い評価を狙いたい人(任官・任検志望の方など)は、問題集に取り組むのがおすすめです。
個人的におすすめしたい要件事実の問題集は『要件事実論30講』と『要件事実問題集』です。
※なお、下記の記事で要件事実のおすすめ教材をまとめています。要件事実に不安のある方は、下記の記事を参考にして頂ければ、役に立つ書籍が見つかると思います。
【民事弁護】起案や二回試験対策に役立つおすすめ本
ここからは、民事弁護科目の起案や二回試験対策としておすすめできる本を紹介していきます。
『民事弁護の手引』(白表紙)
民事弁護科目の起案は、訴状や準備書面等の書面作成起案と、その他民事執行・保全や和解や弁護士倫理等の小問から構成されます。
このうちのメインはもちろん書面作成起案です。
その対策としては、『民事弁護の手引』に掲載されている、各書面の記載例を読むことが一番おすすめです。
その他の部分は、小問対策としてつまみ食い的に読んでおけばいいと思います。
基本的には、民事弁護の起案については、民法と要件事実の知識があれば、あとは『民事弁護の手引』の記載例を読んでおくだけで十分な学習になります。
要件事実の教材(民事裁判と同じ)
民事弁護の書面作成起案についても、要件事実の知識が問われるので、要件事実の復習をしておきましょう。
やるべきものは民事裁判の箇所でおすすめしたものと同様に『完全講義 民事裁判実務の基礎 (上巻)』や『要件事実論30講』、『要件事実問題集』を使用すれば足ります。
前述したように、下記の記事で、私のおすすめの要件事実の教材をまとめていますので是非参考にして下さい。
『民事保全』『民事執行』または『基礎からわかる民事執行法・民事保全法』
民事弁護の小問の中に、民事執行保全の分野から出題されるものがあります。
その対策として、基本的には、白表紙の『民事保全』『民事執行』を使用すれば事足ります。
導入修習や集合修習の講義や民事裁判の実務修習中に読む機会はあると思いますが、起案対策としても一読しておくと安心。
導入修習中に配布されるレジュメを基本として、白表紙の『民事保全』『民事執行』を補完的に使用すれば小問対策としては万全です。
もっとも、私がそうだったのですが、白表紙の『民事保全』『民事執行』は構成も内容も少しわかりずらいと思うことがあるかと思います。
もしも、白表紙の『民事保全』『民事執行』が合わないと感じるのであれば、『基礎からわかる民事執行法・民事保全法』がとても分かりやすいのでおすすめです。
『民事弁護における立証活動』(白表紙)
民事弁護の小問として、証拠収集活動の分野から出題がありますが、そのほとんどは『民事弁護における立証活動』を読めば解けるものになります。
例えば、相続の場面における財産の調査方法であったり、相手型の住所を調べる方法であったり、戸籍・戸籍の付票・改正原戸籍・除籍簿などがどういうものなのか等、民事弁護の小問対策は『民事弁護における立証活動』で十分です。
前記と同様に、導入講義で配布されるレジュメと併せて読んでおけば、起案対策はバッチリです。
『民事弁護実務の基礎-初めての和解条項-』(白表紙)
民事弁護の小問として、和解の分野からも出題があります。
和解条項の一部又は全部を書かされることになるので、主要な条項は全て暗記しておく必要があります。
起案や二回試験で出る和解条項は、それほど難しいものではないので、『民事弁護実務の基礎-初めての和解条項-』を読んで覚えておけば問題ありません。
あとは、前記同様、導入講義で配布されるレジュメにも和解条項例が掲載されているので、それを併せて読んでおきましょう。
なお、和解に関しては『書記官事務を中心とした和解条項に関する実証的研究』という書籍が非常におすすめでして、和解と言えばこの本というくらいのものなので、ぜひ司法修習中に手に入れておきましょう。
『解説 弁護士職務基本規程』
民事弁護科目の起案では、弁護士倫理の分野から小問が出題されることがあります。
弁護士倫理の小問は『解説 弁護士職務基本規程』を読んでおけば十分解くことができる者ばかりです。
利益相反や守秘義務等に関する主要な規定だけでもじっくりと読んでおきましょう。
【刑事裁判】起案や二回試験対策に役立つおすすめ本
ここからは、刑事裁判科目の起案や二回試験の対策として役に立つ本をまとめていきます。
『刑事事実認定ガイド』(白表紙)
刑事裁判科目の起案は、事実認定問題とその他刑事裁判手続に関する問題から構成されます。
そのうちのメインは事実認定問題ですが、その基本書ともいえるのが『刑事事実認定ガイド』です。
事実認定に必要な証拠構造や供述の信用性等の知識はほぼ全て『刑事事実認定ガイド』から得られるので、まずは本書を読むことからスタートです。
事実認定の問題は、検察や刑事弁護の起案ともリンクするので、他の科目も学習しつつ本書をよめば起案や二回試験対策としては十分です。
刑事訴訟法の基本書
刑事裁判科目の裁判手続きに関する問題については、司法試験や予備試験のために学習した内容も含まれるので、刑事訴訟法の基本書を読み直すというのも効果的です。
特に、論文試験で問われることの少ない公判手続きの部分については、起案や二回試験の他にも実務修習や導入・集合修習で重要になるので、不安な人は復習しておきましょう。
一応、私が個人的におすすめする基本書等を下記の記事にまとめているので、参考までにご覧ください。
【刑事弁護】起案や二回試験対策に役立つおすすめ本
つぎに、刑事弁護科目の起案や二回試験対策としておすすめの本を紹介していきます。
『刑事弁護の手引き』(白表紙)
刑事弁護科目で必読の本は『刑事弁護の手引き』です。
刑事弁護科目は答案の書き方(流れ)が決まっていて、それを守らなければ起案で良い評価を狙うことは難しいです。(二回試験では一発アウトレベル?と言われてたりします)
刑事弁護の答案の書き方は、刑事弁護の手引きを見れば簡単に分かるので、まずは読みましょう。
また、答案で書く内容も非常に分かりやすく解説されているので、刑事弁護の手引きを読んでおけば、刑事弁護科目で落とすことは無くなると思います。
【検察】起案や二回試験対策に役立つおすすめ本
最後に、検察科目の起案や二回試験対策としておすすめできる本を紹介していきます。
『終局処分起案の基礎』(白表紙)
検察起案の対策として1番大切なのが『終局処分起案の基礎』です。
『終局処分起案の基礎』は、起案や二回試験のために、多くの人が何度も何度も読むことになると思います。
特に重要なのは、終局処分起案の記載例。
検察起案は答案の型がきっちりと決まっていて、その流れ(や項目)で起案をしないと一発アウトです。
なので、まずは『終局処分起案の基礎』で起案の記載例を読み込み、検察起案の型を徹底的に頭に入れましょう。
『犯罪事実記載の実務 刑法犯』
検察起案の中では、成立する犯罪の構成要件を書くことが求められます。
そのため、司法試験や予備試験のために暗記したような、要件の定義等の刑法各論の知識が必要となります。
『犯罪事実記載の実務 刑法犯』は、刑法上の各犯罪の構成要件の定義が掲載されているため、それを起案前に読んでおけば検察起案では十分です。
検察実務修習中に使用することもあり、修習生の中でも持っている人がいますが、検察志望等の自分の手元に置いておきたいという方は購入がおすすめです。
『検察演習問題』(白表紙)
検察起案のメインは、終局処分起案です。
ですが、司法試験の刑事訴訟法科目として出題されるような問題が小問として設けられています。
あくまでサブ問題という位置付けだと思いますが、わりと基本的な問題なので全く書けないと流石にやばいですし、高評価を狙いたい人(検察志望の方)は確実に点を取りたい問題です。
検察起案の小問は『検察演習問題』を下地とした問題が多いので、『検察演習問題』を解いておけば対策としては十分です。
刑事訴訟法の基本書
検察修習で出題される小問対策として、司法試験や予備試験受験で使用した刑事訴訟法の基本書で復習するのが効果的です。
特に、二回試験の時期は司法試験の受験から1年半も経ってしまうので、わりと刑事訴訟法の知識が頭から抜け落ちてしまったりしてます。
司法試験に合格している知識レベルがあるなら、軽く復習するくらいでも起案対策としては十分なので、簡単に読み直しておきましょう!