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こんにちは
令和元年9月10日(火)、ついに令和元年の司法試験の最終結果発表がありました。
短答式の結果発表については、下記の記事ですでに詳細をまとめていますので、この記事では論文式の結果について気になる部分のまとめを簡単に作りたいと思います。
関連記事:【司法試験短答結果発表】令和元年司法試験短答式の合格点・合格者数・法科大学院の成績は?
来年度以降に司法試験を受験される方やロースクールの選択にお悩みの方はぜひ参考にしていただけると幸いです。
なお、私自身の令和元年司法試験の結果や感想などを少しばかりですが下記の記事でまとめています。興味のある方はそちらの方も見ていただけると嬉しいです。
関連記事:【報告】司法試験に一発合格した感想〜勉強時間・日々の生活・勉強方法なども〜
Contents
令和元年の司法試験論文の結果発表を受けて(合格者数・合格率など)
まず令和元年の司法試験の受験者数と合格者数などを確認すると、以下のようになります。
受験者数:4,466人 (前年:5,238人 )
短答突破数:3,287人(前年:3,669人)
合格者数:1,502人 (前年:1,525人 )
合格率:約33.6%(前年:約29.1%)
やはり気になる点としては①受験者数の大幅減少と②合格率の上昇でしょう。
①受験者数の減少については、法曹志望者が減っているということが多く言われていますし、実際に法科大学院の進学者数も減っていますので、その影響で受験者数が減少しているというところ。
ただ、平成31年の法科大学院への進学者数は前年よりやや増加していますので、もしかすることこれから受験者数は増えていくかもしれません。
また、「法曹コース」なるものが新設されて、法科大学院の最終学年時に司法試験を受験可能になるという制度にもなるようですし、これからも受験者数が減るかと言われると微妙、、、
②合格率の上昇については、上記の受験者数の減少に対して合格者数が政府目標の1500人以上で維持されていることによりますね。
「合格者数が多すぎることによる法曹の質の低下」を唱える方もいますし、今後も1500人の合格者が輩出され続けるのかは謎です。
合格率が非常に高い年となった令和元年司法試験ですが、問題自体はかなり難しい(ひねりのある)ものでしたので、簡単になっているとも一概には言い切れないとも、、、
ただ、合格率が高いこと自体は受験者にとっては嬉しいと感じられることですし、運が良いとも言えるでしょう。
令和元年司法試験の平均点や合格点など
令和元年司法試験の論文式の点数状況について、まとめていきます。
最高点:1248.97点(前年:1197.79点)
最低点:460.24点(前年:414.66点)
平均点:810.44点(前年:790.17点)
合格ライン:810点(前年:805点)
ということで、個人的には民事訴訟法や刑法や刑事訴訟法など、全体的に学説知識を問うような問題が増えていると傾向の変化を感じたので、「得点は低くなるのでは」と思っていましたが、そんなことはなくむしろ点数が高くなっている状況です。
もちろん、相対評価というのもありますし、採点の基準も不明なのでなんとも言えないのですが、、、
とはいえ、点数だけを眺めると全体的に得点は伸びていることが分かりますね。
平均点が20点も増加しているわりには、合格ラインは5点しか増加していないところが気になります、、、
全体の平均さえ取ることができれば合格ラインに乗ることができるということになるわけで、かなり合格のハードルが下がっているという見方もできるでしょう。
次に最低ライン未満者の数をいくつか見てみます。
公法系:135人 (前年:82人 )
民事系:52人 (前年:65人 )
刑事系:115人 (前年:33人)
知的財産法:4人 (前年:34人 )
労働法:20人 (前年:7人 )
国際私法:2人 (前年:12人)
まず目に止まるのが、公法系と刑事系の最低ライン未満者の増加具合でしょう。
公法系は50人ほど、刑事系に至っては80人以上も増加。
確かに、公法系については憲法も行政法も多少前年度までの傾向とは異なるのかなとは思いましたが、、、
憲法に関しては前年から出題形式が変化しましたので、本年度についてはそこまで大きく変化しているわけではないのですが、「どの判例を使えばいいのか思いつかない」というような内容面での戸惑いが個人的にはありました。
行政法についても、そこまで大きく変化しているわけではないのですが、処分性や裁量基準などの定番の問題が無かったという点で、受験生にとって難しく思えたのかなぁと推測しています。
刑事系については、刑法も刑事訴訟法も学説の理解をがっつりと問うような問題が出題されましたので、そこで自説の理解だけを深めていた人が躓いてしまったものと思われます。
刑法に関しては、論点自体は割と分かりやすく重要論点と言えるものでしたから、学説の理解で差が生じたのかなと、、、
上記の科目に対して、民事系については最低ライン未満者は前年とそれほど大きく異なりませんでした。民事訴訟法が難しかったという感想が多かったわりには、変化が無かったのは少し驚き。
選択科目は、特に変化の大きかった3科目のみをピックアップ。
知的財産法が最低ライン未満者を大きく減らしていることから、それほど難しすぎる問題では無かったものと推測されます。
国際私法も同様。
一方で、労働法は最低ライン未満者の数が増えているのですから、逆に取っ掛かりにくい問題であったと評価できそうです。
上記の数値で一概にどうこう言えるわけではありませんが、司法試験の分析の参考にはなるかなと思います。
来年度以降の司法試験を受験される予定の方は、このようなデータを参考にして勉強方針を考えてみるのもいいかもしれません。
令和元年司法試験における主要ロースクールの成績
ここからは主要ロースクール(全部書くと数が多くなりすぎるので、受験者数100人以上の法科大学院を主要ロースクールと定義します)の令和元年司法試験における成績を見ていきたいと思います。
一覧を表にしてまとめます。(合格率の高い順)
上位ロースクール令和元年司法試験の成績(合格率順)
大学名 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 前年合格率 |
京都大学 | 201 | 126 | 62.7% | 59.3% |
一橋大学 | 112 | 67 | 59.8% | 59.5% |
東京大学 | 238 | 134 | 56.3% | 48.0% |
慶應義塾大学 | 300 | 152 | 50.7% | 39.2% |
早稲田大学 | 252 | 106 | 42.1% | 36.5% |
大阪大学 | 112 | 46 | 41.0% | 37.6% |
神戸大学 | 130 | 44 | 33.8% | 39.5% |
中央大学 | 384 | 109 | 28.4% | 23.2% |
北海道大学 | 104 | 25 | 24.0% | 21.3% |
立命館大学 | 114 | 24 | 21.1% | 11.4% |
明治大学 | 162 | 26 | 16.0% | 12.3% |
同志社大学 | 117 | 9 | 7.7% | 20.3% |
主要ロースクールの令和元年司法試験の成績は以上のようになっています。
受験者数が減少したこともあり、全体的には合格率が伸びている状況です。
この中で合格率が低下したロースクールは神戸大学法科大学院と同志社大学法科大学院の2校だけ。
特に目につくのが、やはり同志社大学の合格率の低下の幅でしょう。
合格率が一桁になってしまったというのは、法科大学院の実績としてはかなりの痛手。
数値だけをパッとみると、関西圏でロースクールに進学するのであれば国立のロースクールの方が圧倒的に良いということになりますね。
逆に、大幅に合格率が向上したのが東京大学法科大学院と慶應義塾大学法科大学院。
特に、慶應義塾大学法科大学院に関しては合格率が10%以上も上昇していて、同校からの受験者の半数以上が合格するという状況です。
慶應義塾大学法科大学院は私立のロースクールでは圧倒的に成績が良い、と言えます。
合格率を重視してロースクールを選択するのであれば、関東圏なら東大、一橋、慶應、早稲田のいずれかに進学するのが目標となるでしょう。
前年度からの合格率の伸びをランキング形式でまとめます。
大学名 | 合格率伸び幅 |
慶應義塾大学 | 11.5% |
立命館大学 | 9.7% |
東京大学 | 8.3% |
早稲田大学 | 5.6% |
中央大学 | 5.2% |
明治大学 | 3.7% |
大阪大学 | 3.4% |
京都大学 | 3.4% |
北海道大学 | 2.7% |
一橋大学 | 0.3% |
神戸大学 | -5.7% |
同志社大学 | -12.6% |
慶應義塾大学法科大学院の合格率の伸びがひときわ目を引きますが、一方で同志社大学法科大学院の低下が大きく驚愕です。
やはり、本年度の合格率が上昇しているため法科大学院生の結果も出ているようですね。
ロースクール選びに悩んでいる方は、上記のようなデータを参考にしてみてはいかがでしょうか。
令和元年司法試験における予備試験組の成績
それでは続いて予備試験組の成績についてまとめていきます。
予備試験組の合格者数や合格率等のデータは下記のようになっています。
受験者数:385人(前年:433人)
短答合格者数:381人(前年:431人)
合格者数:315人(前年:336人)
合格率:81.8%(前年:77.6%)
上記のように、令和元年司法試験でも予備試験組は法科大学院組よりも圧倒的に好成績であることが分かります。
前年よりも受験者数がかなり減少しているのですが、合格者数は微減に止まっていることから、昨年度の司法試験よりも本年度の司法試験の方が成績が良くなったと言えます。
前述の各法科大学院の成績と比較してみると一目瞭然ですが、合格率的には法科大学院の比にならない程の好成績であるため、予備試験に合格した場合には司法試験も合格するだけの実力が十分備わっていると考えて良いでしょう。
あとは、予備試験組の司法試験短答突破率が素晴らしすぎますね。ほぼ100%と言っても良いくらいに短答を突破しています。
短答の問題は予備試験も司法試験もそこまで大きく異なりません(科目数以外)が、論文の問題は傾向や性質が大きく異なります。
なので予備試験に合格した場合は、短答対策よりも論文対策の方を徹底的に対策するのが良いですね。
令和元年司法試験の短答式の結果についても下記の記事でまとめていますので、気になる方はそちらにも目を通していただけると幸いです。
関連記事:【司法試験短答結果発表】令和元年司法試験短答式の合格点・合格者数・法科大学院の成績は?
予備試験を目指す主に初学者の方については、下記の記事でおすすめの予備校や各予備校の評価をまとめていますので、それを参考に予備校選びをすると失敗のリスクを低く抑えられると思います。
関連記事:ゼロから予備試験の合格を目指す初学者におすすめな予備校【ランキングや評判など】
令和元年司法試験の結果について雑感
以上が令和元年司法試験の結果についての簡単なまとめです。
全体的には合格率がかなり上昇傾向にあり、さらにその中でも予備試験組の強さがひときわ目立っているという状況でした。
一から司法試験の合格を目指す方であれば、やはり予備試験の合格というところを一番の目標とするのが良いでしょう。
予備試験を合格することが出来れば、ほぼほぼ司法試験の合格に手が掛かったと言っても過言ではありません。
一方で、ロースクールからの司法試験合格を目指している人は、上記の各法科大学院の成績を参考にしながらどの大学院に進学するのかを決めると良いかと思います。
もちろん、学費の全額免除や半額免除などの恩恵を獲得できた場合にはそちらも考慮した上で決定することとなるかと思いますが、個人的には司法試験の合格率の高い学校に進学した方が安心感はあるとは思います。
あるいは、学費の免除を受けられるロースクールに進学して、浮いたお金で予備校の講座を受講するのもいいかも。
とにかく、司法試験の合格という観点からどの道が自分にとって最善手となるかを考える一つの指針として、ここまでまとめてきたデータを活用してみるといいかと思います。
最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
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