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司法試験や予備試験の試験科目として、苦手意識を強く感じる人が多い科目の一つが会社法だと思います。
会社法は条文も細かいですし、特に初学者の段階では挫折しやすい科目ではないでしょうか。
司法試験に一発で合格できた私自身、司法試験科目の中ではかなり苦手な科目でしたし、初学者の頃は何が何だかわからないままに勉強を進めていました。
そのおかげ(?)でいろんな会社法の本に手を出してきましたので、私自身が過去に使用したものや司法試験・予備試験受験生の中で評判の高いものの中から、会社法のおすすめ基本書・問題集・判例集をピックアップして紹介していきたいと思います。
これから会社法を学習していくという方には是非とも参考にしていただければ嬉しいです。
Contents
初学者におすすめな基本書・参考書・問題集・判例集
まずは、会社法の初学者に向けておすすめの基本書や問題集などの本を紹介していきます。
これから会社法を学習していく人は、まずはここに挙げている本を入手して、読んでいくことをおすすめいたします。
【基本書(入門書)】『有斐閣ストゥディア会社法』
会社法の入門書の中では、『有斐閣ストゥディア会社法』がかなりおすすめです。
会社法は膨大な情報量が特徴的な科目ですので、基本書も分厚いものが多いのですが、本書は300頁以内でコンパクトにまとめられていて、入門書として非常におすすめ。
初学者の段階では、個々の分野を完璧に頭に入れる必要はなく、短時間でざっと全体像を把握するのが先決事項なので、まずは薄めの入門書で学習をするのが良いです。
なので、総ページ数も少なく、かなりコンパクトな内容になっている『有斐閣ストゥディア会社法』は、会社法初学者の方に最適でとてもおすすめできます。
わざわざ入門書を読む必要はないと思う方は、後で紹介する『リーガルクエスト会社法』をいきなり使うのもアリだと思いますが、まずは本書で基礎知識をさらっておくのも良いと思います。
【問題集】『ひとりで学ぶ会社法』
『ひとりで学ぶ会社法』は初学者が会社法の問題を解くための基礎を固めるのにぴったりな問題集です。
正直、初学者には少々難しいかもと思えるのですが、これ1冊やりきると非常に会社法の力が付くのでとてもおすすめです。
本書は、短い設問を通して会社法の条文を徹底的に読ませる作りになっていまして、まさに会社法の演習ドリルという感じの内容です。
なので、会社法のキモともいえる条文操作を初学者の段階から学ぶのに最適な問題集だといえます。
ちょっとハードな問題集で基礎をしっかり固めたいというストイックな方に向いていると思います。
司法試験を受験した個人的な感想として、会社法は条文操作などの基礎的な部分が合格のためのカギになると思いますので、本書のように基礎を鍛えられる問題集はかなりおすすめできます。
※『ひとりで学ぶ会社法』については、評価や特徴をまとめて書評記事を書いています。下記のリンクから書評を読んでいただけると、より詳しいことが分かりますので参考になるかと思います。ご興味のある方は、是非ご覧ください。
関連記事:【書評】『ひとりで学ぶ会社法』〜会社法の条文に慣れるために最良の問題集〜
【判例集】『会社法判例40! (START UP)』
『会社法判例40! (START UP)』は会社法の基本判例を厳選して掲載している判例集です。
初学者向きの判例集となっていまして、他の判例集と比較してかなり掲載判例数は少ないですね。
これは、会社法の重要なものに限って載せているからで、初学者の方はまずは本書に掲載されている判例を頭に入れるのがおすすめ。
それぞれの判例につき、簡単な解説も付されているので、ある程度重要論点について学習することもできます。
予備校の入門講座や学校の授業でさらっと会社法を学習した後で、本書を利用して基本判例について学習すると効果的に学習できるかと思います。
中級者におすすめな基本書・参考書・問題集・判例集
ここからは会社法中級者向けにおすすめな基本書や問題集などの本を紹介していきます。
前述した初学者向けのおすすめ本や予備校の入門講座で、会社法について一通り学習した人は、ここから紹介する本を使用して、会社法の知識をより定着させていくと良いですね。
【基本書】『リーガルクエスト会社法』
会社法の基本書でおすすめなものといえば『リーガルクエスト会社法』ですね。
法科大学院生等の司法試験や予備試験に大人気の「リーガルクエスト」シリーズの会社法版。
「リーガルクエスト」シリーズ全体に言える特徴ですが、各分野の解説が端的に分かりやすくなされています。
「リーガルクエスト」シリーズの中で会社法が特に人気な理由も、条文等の立てつけが細かく複雑な会社法を、コンパクトな解説で負担少なく学ぶことが出来る点にあると言えます。
確かに、少々コンパクトすぎて解説が薄いかなぁと感じる面も、あると言えばあるのですが、それでも中級者位までの学習者が司法試験や予備試験のために基礎知識を定着させるためには十分すぎるくらいの内容になっています。
『リーガルクエスト会社法』で基礎知識を頭に入れた後に、問題集や参考書等で知識に不安のあるところを深めていくのがおすすめ。
【基本書】『田中会社法』
『田中会社法』は東大教授の田中亘先生が執筆されている会社法基本書。
会社法の基本書の中で、司法試験受験生に人気の定番のものは長らく『リーガルクエスト会社法』でしたが、最近は『田中会社法』がかなりの人気を博しています。
事業承継の部分が特に詳細に解説されている印象ですが、全体的に丁寧な内容になっていますので、そのあたりが法科大学院生など司法試験受験生に人気な理由の一つかと思います。
あっさり目の基本書が好きな人は『リーガルクエスト会社法』、解説が詳細な基本書が好きな人は『田中会社法』がおすすめ。
【問題集】『事例研究会社法』
『事例研究会社法』は、司法試験受験界の中でも定番といえるくらい使用率の高い会社法問題集です。
取り扱い論点は、会社法の試験で頻出するようなオーソドックスなものが多く、受験生に非常におすすめできる問題集といえます。
解説もかなりテンポよく進むのと、会社法がそこまで得意じゃない人でも十分理解できるくらい分かりやすく説明されているので、会社法初学者~中級者くらいの人に最適です。
また、所々でコラムが差し込まれていて、司法試験や予備試験に役立つ知識も盛り込まれていたりしますので、本書で問題演習をする際には、コラム欄にも目を通したほうがよいかもです。
会社法に苦手意識がある方は、まずは本書で問題演習するのがおすすめ。
※『事例研究会社法』については、評価や特徴をまとめて書評記事を書いています。下記のリンクから書評を読んでいただけると、より詳しいことが分かりますので参考になるかと思います。ご興味のある方は、是非ご覧ください。
関連記事:【書評】『事例研究会社法』〜重要論点中心で解説が優れているおすすめな会社法問題集〜
【問題集】『司法試験予備試験 新・論文の森 商法』
『司法試験予備試験 新・論文の森 商法』は、法律予備校のLECが出版する司法試験や予備試験の受験生にぴったりな参考答案例付きの予備校問題集です。
特徴として、豊富な問題量と各問題に参考答案例が付いている点が挙げられます。
利益相反等の取締役の責任や株主総会の瑕疵等、司法試験・予備試験の頻出論点を中心にして、商法総則・商行為法や手形小切手法なども多少ではありますが扱っているので、非常に網羅的で試験向きの問題集といえます。
扱っている問題は、比較的短めのものが多く、そこまで難しい問題はあまりないので、基本的には初級者~中級者ほどの人が対象かなと思うところです。
会社法を一通りさらっと学習し終えたら、答案の書き方を学習する意味も込めて、本書で重要論点部分だけでも問題を解いてみると良いかもしれません。
沢山問題を解いておきたいという人には非常におすすめ。
【判例集】『会社法判例百選』
会社法の判例集といえば『会社法判例百選』というくらいのど定番な判例集。
司法試験や予備試験受験生の中で持っていない人はいないのではないかと思われるほど使用率が高いので、司法試験等の受験を考えている人は所有しておくのがおすすめ。
司法試験では、判例百選掲載判例を素材としたような事例も見られたりしますし、基本的には判例百選に載っている論点を押さえておけば試験でも対応可能になります。
かなり多くの判例が掲載されているため網羅性にも欠けるところはありませんし、解説では学説に触れられていたりするので、『会社法判例百選』で解説含めて掲載判例を消化できると、かなり会社法の判例知識が深まります。
上級者向けのおすすめ基本書・参考書・問題集・判例集
ここからは会社法の上級者向けにおすすめの基本書や問題集などの本を紹介していきます。
司法試験受験生や会社法が得意な人は、ここで紹介するおすすめ本に手を出してみると、より会社法の知識が深まると思います。
【基本書】『江頭会社法』
『江頭会社法』は、言わずと知れた会社法の大家である江頭先生の会社法基本書。
とにかく会社法で分らないことがあれば『江頭会社法』を参照するのが一番といえるくらい、会社法の知識をふんだんに盛り込んだ内容の基本書となっています。
ただ、それほどまでに詰め込まれた内容ですので、1000頁以上の大ボリュームを誇るのが難点。
司法試験受験生の中でも、所有している人は少なからずいるのですが、おそらく本書を通読する人はほぼいないのではないでしょうか。
内容の信頼性と解説の詳細さは、会社法の基本書の中でも随一なので、司法試験のために購入する人は辞書的な使い方をすると良いかも。
会社法上級者向けの基本書としては、圧倒的におすすめです。
【問題集】『論文演習会社法(上巻・下巻)』
『論文演習会社法(上巻・下巻)』は、司法試験・予備試験の問題を素材として、若手実務家と学者が解説(参考答案作成)を協同で行っている会社法問題集です。
司法試験や予備試験の過去問を題材にしているので、初学者には難しいと思われます。
逆に、司法試験受験生等の中級者以上の人にとっては、非常に参考になります。
特に、若手実務家作成の答案に対して、学者目線からコメント&問題に対する解説がなされている点が非常に特徴的な部分でして、答案作成を学びながら論点に対する知識を深めることが出来ます。
司法試験や予備試験の過去問検討の際にも、答案例等が非常に参考にできるのでおすすめ。
扱う分野によって上・下巻の二冊に別れているのですが、それぞれ解いておくと会社法の論点をある程度網羅できると思います。
司法試験や予備試験の受験を考えている方にはとてもおすすめできる過去問演習本です。
※『論文演習会社法(上巻・下巻)』については、評価や特徴をまとめて書評記事を書いています。下記のリンクから書評を読んでいただけると、より詳しいことが分かりますので参考になるかと思います。ご興味のある方は、是非ご覧ください。
関連記事:【書評】論文演習会社法(上・下) 上田純子・松嶋隆弘[編]
【問題集】『事例で考える会社法』
『事例で考える会社法』は、問題も解説も、司法試験受験レベルよりも高いのではないかと思えるくらいにレベルの高い会社法の問題集です。
大部分の問題は、利益相反や役員の責任等、司法試験でも頻出の論点から出題されますが、持分会社等のマイナーな問題も一部あります。
また、最初の6問については、参考答案例も記載されているのがちょっと親切な点。
本書の解説はオムニバス形式になっていますので、解説者によって、試験でも使える論点の解説をしているものと、条文の沿革等の試験には直接関係しない学問的な内容まで扱っているものもあります。
純粋に、司法試験の合格だけを考えると、そこまで試験的な問題集ではありませんが、試験用の会社法問題集では不十分と感じる中級者~上級者の方にとっては、参考になる部分の多い書籍だと思います。
※『事例で考える会社法』については、評価や特徴をまとめて書評記事を書いています。下記のリンクから書評を読んでいただけると、より詳しいことが分かりますので参考になるかと思います。ご興味のある方は、是非ご覧ください。
関連記事:【書評】『事例で考える会社法』〜司法試験受験生のど定番・レベルの高い問題集〜