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今回は、答案例付きの民事訴訟法演習書、『ロジカル演習 民事訴訟法』について特徴や評価をまとめて書評を書いていきたいと思います。
学者執筆の問題集としては『事例演習民事訴訟法 第3版 (法学教室ライブラリィ)』『基礎演習民事訴訟法』『ロースクール演習民事訴訟法』あたりが有名どころですが、新しく発売(2019/2)された『ロジカル演習 民事訴訟法』もなかなか人気になりそうな民事訴訟法問題集です。
民事訴訟法の問題集をお探しの方はぜひ本記事を参考にしていただけると幸いです。
Contents
『ロジカル演習 民事訴訟法』 越山 和広 (著) 弘文堂
今回紹介するのは弘文堂から出版されている『ロジカル演習 民事訴訟法』です!!
『ロジカル演習 民事訴訟法』の評価と特徴
『ロジカル演習 民事訴訟法』はコンパクトな解説及び解説内容とリンクした答案例が特徴的な民事訴訟法の問題集です。
問題数は30問
典型的な論点ばかりなので問題の難易度は比較的低め
とはいえ、問題の問い方が通説や判例とは逆の立場も踏まえて解答させる形になっているものなどもあり、単純に論証パターンを貼り付ければ解けるというものではありません。
むしろ、論証パターンの理解がちゃんとできているのかを問う問題が多いという印象。
問題の形式は基本的に短めの事例問題ですが、対話形式の問題も一部あります。
解説がかなりコンパクトで大体5〜10ページ程度の分量しかないのでそれほど読み進めるのに負担は大きくありません。
解説がコンパクトとはいっても不十分ということではなく、要件事実を示した上で解説を進めていたり、定番の論証や解説を掘り下げていたりと短いながらも丁寧な解説になっています。
解説というよりも、問題に対する思考プロセスをそのまま文章化している感じですかね。
なので、問題に関係ない事項は基本的に記載されていないため、それだけ解説がコンパクトに済まされているということです。
答案例が解説の最後に記載されていて、その内容は基本的には解説で検討した順序で比較的丁寧めに記述されています。
論証パターンをそのままくっつけるような所謂予備校本的な答案例ではなく、しっかり根拠づけや事案の特殊性を踏まえた詳細な答案例となっています。
本書の構成としては、
半頁〜1頁ほどの短めの事例問題 ➡︎ 参考判例 ➡︎ 解説を読む前に(問題のヒントというか注意点や論述の際のポイントなど) ➡︎ 解説 ➡︎ 参考答案例
となっています。
問題自体の難易度はそれほど高いわけではありませんが、解説がある程度民事訴訟法の学習が進んでいることを前提としている部分もあったり、要件事実を用いて解説していることがあったりするため、基本的には中級者程度向けの問題集なのかなと思われます。
解説もコンパクトだし答案例も参考にできる記載が非常に多いので、民事訴訟法のメイン問題集としての使用もありな出来となっています。
『ロジカル演習 民事訴訟法』の良いところ
・要件事実を用いた丁寧な解説
『ロジカル演習 民事訴訟法』の解説の良いところとして、要件事実から解きほぐして設問の検討をしている点があります。
要件事実の学習が進んでいない方には慣れないかもしれませんが、実際に民事訴訟法の問題を解く際にはかなり実体法と関連した内容になることが多いため、要件事実を用いて丁寧に解説している本書は非常に学習者思いであるという印象です。
他に要件事実を用いた解説があるとして『論点精解 民事訴訟法』もありますが、こちらは難易度が高いし分厚いのがネックなので、もっと簡潔で復習に便利な演習書をメインで使いたい方は『ロジカル演習 民事訴訟法』の使用をお勧めいたします。
『ロジカル演習 民事訴訟法』は『基礎演習民事訴訟法』や『ロースクール演習民事訴訟法』などの演習本とは異なり、著者の答案例が各設問の解説の最後に記載されています。
なので、答案例を確認しながら、それぞれの問題につき何をどのように答案として書けば良いのかを抑えることができます。
解説自体が答案と非常にリンクしているので、それでも十分学習者にとっては有益なのですが、それに加えて実際の答案例が付いていると自分の論証の参考にもなりますので非常に良いです。
答案例付きの問題集が好みの方は、先ほど挙げた問題集などよりも、『ロジカル演習 民事訴訟法』の方がお勧めできます。
・解説と答案例がリンクしている
先ほども少し触れましたが、『ロジカル演習 民事訴訟法』では解説の検討内容と答案例の記載がそのままリンクしています。
答案例に至るまでの問題に対する頭の中の検討プロセスを言語化して解説に書き起こしているというイメージでしょうか。
そのため、解説で示された思考過程がそのまま答案例に反映されており、学習者としては自分で答案を作成する際に非常に参考になります。
実際に事例問題を解くときに何を考えるべきなのか、何が答案に必要なのか、どのような論理展開で答案を作成するのかなど、答案作成の思考プロセスを身につけることができるわけです。
・定番の論証を掘り下げて解説している
本書の解説の特に良いところは、民事訴訟法学習者が論文試験で書くことの多い論証パターンを掘り下げで解説している点です。
例えば、「裁判官の自由心証主義に反する恐れがあるため間接事実に弁論主義は適用されない」という定番の論証について、なぜ自由心証主義に反する恐れがあるのかをしっかりと解説して答案例に反映しています。
他にも、「固有必要的共同訴訟の成否は実体法上の管理処分権を基調として訴訟法的な観点を加味して判断する」という論証についても、なぜこのような論証になるのかということを丁寧に説明しています。
このように、典型的な論点に対して深く理解できる有益な解説が本書のすごく良いところです。
『ロジカル演習 民事訴訟法』のイマイチなところ
・答案例は論証例っぽくない
答案例が受験界の定番論証っぽくないという点は、良くもあり悪くもあるところだと思います。
実際に答案を作成するとなった場合は大抵キーワードなどを使いながら論証を吐き出すことになりますから、その意味では受験生にとって再現の難しい答案であるとは思います。
完全再現するのは難しいので、うまく自分なりにアレンジしたりして答案で再現するための工夫が必要となります。
本書の答案をそのまま書くという考え方ではなく、自分の論証パターンを作り出す上での参考にするという見方の方が良いと思います。
・典型論点ばかりで応用問題は少なめ
本書の問題のレベルは決して高いものではなく、むしろ典型的な論点がメインの問題ばかりになっています。
マイナーな論点を聞くことほとんどなく、典型的な論点をピックアップして作成されているので典型論点の理解を深めるような問題集と言えます。
それだけに、応用問題や複雑な問題は少なく、問題文では誘導文や指示があるものも多いので、論点の把握自体も難しくありません。
なので、もしも司法試験に向けてレベルの高い問題集を探しているのであれば、ちょっと物足りないと感じることがあるかもしれません。
『ロジカル演習 民事訴訟法』はこんな人におすすめ
・コンパクトで復習しやすい問題集をお探しの人
・答案例付きの民事訴訟法問題集を使いたい人
・予備校の定番論証パターンをより説得的なものに改良したい人
・民事訴訟法中級者
なお、過去の書評一覧は⬇︎こちら⬇︎にまとめていますので、ご覧ください。
【書評一覧】法律本の書評を総まとめ〜基本書・参考書・問題集・予備校本など〜
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