書評(刑法)

【書評】『刑法ガイドマップ(総論)』〜試験を意識した構成の刑法入門書〜

こんにちは

今回は刑法を学習したての初学者に向けて、刑法総論の入門書である『刑法ガイドマップ(総論)』の紹介をしていきたいと思います。

司法試験一発合格者である私が『刑法ガイドマップ(総論)』を読んだ感想を踏まえて、本書の特徴や評価をまとめて書評を書いていきます

これから司法試験や予備試験等の受験を見据えて刑法の学習を始める人には、刑法の教材選びの参考になると思いますので、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。

『刑法ガイドマップ(総論)』の情報

今回紹介するのは信山社から出版されている『刑法ガイドマップ(総論)』です!!

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信山社出版
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著者は、立教大学大学院法務研究科教授の辰井聡子先生慶應義塾大学大学院法務研究科教授の和田俊憲先生のお二方となっています。

 

『刑法ガイドマップ(総論)』の感想・評価・特徴

刑法ガイドマップ(総論)』は刑法の書籍の中では、立ち位置的には入門書という感じで初心者向けの本となっています。

各項目の解説が非常に短くなされているので、全体で200頁以内という低ボリュームに抑えられているので、難解な議論の多い刑法総論の全体像をざっと把握するのにピッタリといえます。

本書では、因果関係論や実行の着手など、刑法総論の中でも試験で頻出する分野に重点を置いた解説がなされていて、本書全体のボリュームの割には、解説の中身もかなり細かくなされていると感じるところです。

また、各解説には短めの設例が設定されて、典型事案を把握しながら学習できるように工夫されていたり、解説の最後には「事案の解決」と題していくつかの事例が設けられ、学習した刑法総論の知識がどんな事案で問われるのかを確認することもできます

なので、刑法総論の初学者が、具体例でイメージを掴みながら基礎知識の習得に取り組みやすい作りになっているといえます。

「事案の解決」欄では判例を素材とした事案が掲載されていて、その解説は実質的に判例の解説といえる内容になっています。

入門書ではありますが、事案の分析を通じて、多くの判例に触れる機会を設けているのが珍しいところ。

本書の最後には、平成22年度と平成23年度の司法試験の解答例が掲載されているので、初学者の方にとっては、学者作成の刑法答案を実際に目にすることができるのがうれしいですね。

なお、平成22年度と平成23年度の司法試験の問題は掲載されていません。法務省のホームページから過去問を見ることができるので、本書に掲載されている解答例を見る際には、過去問を確認してからのほうが良いかと思います。

弁護士志望A
(司法試験合格者)
弁護士志望A
(司法試験合格者)
総ページ数が少ないながらも試験向きの内容になっているのが印象的ですね。個人的には、刑法総論の入門書の中ではかなりおすすめできると感じました。

 

『刑法ガイドマップ(総論)』の良いところ

まずは刑法ガイドマップ(総論))』の良いところを挙げていきますので、ご参考にして下さい。

 

試験向きの解説が所々でなされる

刑法ガイドマップ(総論)』を読んでいて、かなり司法試験や予備試験を意識した内容になっているという印象を持ちました。

解説の中で、答案の書き方・注意点等の情報や条文の記載についてなど、試験に直結する有益な記載が差し込まれていて、答案を書いたことのない初学者にはとても役立つ内容だと思います。

また、後述するように、巻末の司法試験の解答例で実際の答案を見ることもでき、著者からの答案作成に対するコメントも付いています。

このように、入門書ながらも、学習者が早い段階で試験を意識できるような作りとなっているため、司法試験や予備試験を受験することを考えている人にとっては、かなり実践的な書籍と評価できます。

 

司法試験の解答例が付されている

刑法ガイドマップ(総論)』は、内容的には初学者向けの入門書といえるのですが、特徴的な点として、本書の巻末において、平成22年度と平成23年度の司法試験(刑法)の解答例が掲載されています。

本書の対象者である初学者の段階では、刑法の答案の書き方が全く分からない状態であることが普通だと思いますが、本書で答案例を確認することにより答案の書き方のイメージを掴むことができると思います。

また、本書の答案例には、著者のコメントで何に注意するべきなのか等の答案作成上の注意点が記載されているのも非常に親切。

初学者向けの入門書で司法試験の過去問を扱うのは少々難しいとも感じるところではありますが、将来的に司法試験の受験を目指すのであれば、早めに過去問に目を通して、雰囲気を掴んでおくのもアリかとも感じます。

 

『刑法ガイドマップ(総論)』のイマイチなところ

今度は逆に、刑法ガイドマップ(総論)』のイマイチなところを挙げていきます。

 

判例の規範がなく、結論のみの部分がある

刑法ガイドマップ(総論)』は判例を多く扱っている点では初学者にとてもおすすめできる教材なのですが、少し残念なところとして、判例の規範を記載せずに結論のみを示している部分が見られる点が挙げられます。

司法試験では、答案で判例の規範を書くことがほぼ必須事項となりますので、その意味では、試験との関係で少し不親切であるとも評価できます。

ただ、本書は入門書であり、対象者が刑法総論の学習を始めたばかりの人であることを考えると、初期段階で判例の規範や理屈を完全に押さえる必要性はない(多分、最初は理解するのもなかなか難しいと思います、、、)ので、まずはざっくりと判例の結論だけ頭に入れるというのも良いかとも感じるところではあります。

 

入門書にしては内容が少々難しいかも

刑法ガイドマップ(総論)』は、初学者向けの書籍としては内容が少し難しめのものだと感じます。

刑法総論の重要論点を扱うとともに、違法性の意識の可能性等の初学者にはちょっと理解が難しいと思われる事項まで踏み込んで解説していることもあります。

もちろん、最終的に司法試験の受験を考えるのであれば、本書で扱っている事項は頭に入れておくべきでして、決して難しすぎることは無いとは思います。

しかしながら、入門段階で理解しておく必要もないのかなぁ…と個人的には思うような点にまで言及しているのは、一方では丁寧な解説と評価できますが、他方では踏み込みすぎとも評価できるところですね。

『刑法ガイドマップ(総論)』はこんな人におすすめ

刑法ガイドマップ(総論)』は以下のような人におすすめです。

・刑法初学者

・法学部生

・刑法総論が苦手な人

・平成22年度、23年度の司法試験過去問の答案例を見たい人

刑法ガイドマップ(総論)』は刑法総論の学習をしたことのない初学者の方におすすめできる入門書ですので、司法試験や予備試験の学習のための教材選びに悩んでいる初学者の方は、一度チェックしてみると良いかもしれません。本記事の書評が参考になっていれば幸いです。

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