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この記事では、予備試験や法科大学院のメリット・デメリットを説明していきます。
それぞれ良いところもあればイマイチなところもあるというように一長一短なので、例えば法科大学院の進学を考えていたり予備試験の受験を考えている人には、この記事の内容が参考になると思います。
なるべく詳しくまとめましたので、皆様の進路選択のお役に立てれば幸いです。
Contents
予備試験のメリット
まずは予備試験ルートで司法試験を目指すことのメリットについて書いていきます。
法科大学院よりも費用がかからない
予備試験は法科大学院のように学校に通うことが必要ではないので、学費がかからない点でコスト面の優位性があります。
例えば、法科大学院を修了して司法試験を受験する場合には、以下のような学費が必要となります。
大学4年間の学費(200万円〜500万円)
法科大学院2年(3年)の学費(200万円〜400万円)
上記の学費はあくまで目安にすぎませんし、国立・私立や奨学金の有無や学費免除の有無などによって異なります。
とはいえ、大半の人は法科大学院に進学すると上記のような費用が必要になることは事実です。
さらに、上記のような大学や法科大学院の学費に加えて、学生生活中の生活費も必要となります。
特に、法科大学院に進学して以降は、法律の勉強でアルバイトをやる時間的・体力的余裕もないので、その点で法科大学院ルートはかなりコストがかかってしまいますね。
一方で、予備試験ルートで司法試験の受験を目指す人の場合には、法科大学院のように学費が必要になるわけではないので、費用としては純粋に生活費のみということになります。
それに加えて、予備試験の合格を目指す場合には、ほぼ全ての人が予備校を利用することになるので、その費用は必要となるかもしれません。
なので、生活費+予備校の受講料(数十万円〜)というのが、予備試験から司法試験を目指す人の必要な費用となりますね。
予備校の講座受講料が必要になると言っても、やはり法科大学院の学費よりはかなり低いですし、法科大学院ルートの人もほとんどが予備校を利用しています
なので、結局は予備試験ルートの方が法科大学院ルートと比べて予算を抑えられるのは間違いありませんね。
(しかし、後述しますが、予備試験は難易度が高くて何年もチャレンジする必要があるかもしれないというマイナスな側面があります。)
※予備試験の合格を目指すのにおすすめの予備校を一覧でまとめていますので、そちらで講座価格などを確認してみてください。
関連記事:ゼロから予備試験の合格を目指す初学者におすすめな予備校【ランキングや評判など】
法科大学院よりも短期で司法試験受験のチャンスがある
予備試験ルートには期間的な面でもメリットがあります。
予備試験にうまく短期で合格することが出来れば、法科大学院ルートよりも大幅に早く司法試験に挑むことができるのです。
法科大学院に進学する場合には、学部4年と法科大学院2年の6年くらいは司法試験受験までに必要となります。
一方で、予備試験の場合には、それこそ一発合格できた場合には、次の年にすぐ司法試験を受験することが出来るのです。つまり、最短で1、2年という感じです。
このように、予備試験には上手くいけば司法試験受験までの期間を大幅に短縮することが出来るという期間的なメリットがあるわけです。
ただし、これは最高のケースを考えているだけでして、予備試験の難易度はかなり高い(合格率5%以下)ので、短期で合格するというのはそもそも高いハードルにはなってしまいます。
うまく短期合格出来れば司法試験までの期間を短縮できて美味しいけど、下手すると全然予備試験に合格できずに司法試験まで辿り着けないという可能性もあるわけです。
なので、予備試験ルートで司法試験の受験を目指す人は、とにかく予備校の講座などを利用して徹底的に勉強することが必須になります。
予備試験に合格すれば就活で有利
予備試験に合格した場合のメリットとして、就活で非常に有利になるということがあります。
予備試験合格者は各法律事務所からの囲い込みがあるとかないとか…
これが本当かどうかは置いておいて、このような話が出るくらいには予備試験組が就活で有利になるのは紛れもない事実。
予備試験という難しい試験に合格することが出来たというのがその人のステータスとなるので、合格者にはそれだけの恩恵があるというところでしょうか。
法科大学院の最終学年時に予備試験を受ける人がいるのも、そのような就活におけるメリット面があるからというのは大きいでしょう。
そうでないなら、法科大学院を卒業すれば司法試験を受験することが出来るので、最終学年でわざわざ予備試験を受けることのメリットはありませんからね。
予備試験を合格することが出来れば就職で有利になれるというメリットはあるという認識で間違いないでしょう。
予備試験合格組の司法試験合格率は高い
予備試験に合格した場合、司法試験合格の確率がかなり高いです。
上位ロースクールの司法試験合格率がおよそ60%程度となっているのに対して、予備試験合格者の司法試験合格率は70%を超えているのですから、両者の間にはかなり合格率の差があるというのは事実です。(司法試験2018年の結果を比較)
下記の記事でも令和元年司法試験の短答式の結果を分析していますが、司法試験短答式についても、予備試験合格者はほぼ全ての方が突破しているという状況です。
関連記事:【司法試験短答結果発表】令和元年司法試験短答式の合格点・合格者数・法科大学院の成績は?
というように、予備試験に合格することが出来ればかなりの確率で司法試験でも合格できるくらい実力があると評価できます。
社会人が働きながら合格を目指せる
社会人が司法試験の合格を目指す(法曹三者を目指す)のなら予備試験の合格というのがまずは第一目標になるでしょう。
社会人の状態だと法科大学院で平日の朝やお昼に授業を受けるというのが無理だと思いますので、そうなると仕事が終わって夜に法律の勉強をして予備試験の合格を目指すというルートになりますね。
法科大学院は授業の予習・復習も多いので、アルバイトすら難しいという状況になります。
なので、社会人のまま司法試験を目指すのであれば、とにかく予備試験に合格するという道を考えなければなりません。
逆に言えば、社会人でも司法試験の受験を目指すことが出来るというのが予備試験のメリットということです。
※予備試験を目指す社会人に向けて、下記のように社会人におすすめな予備校を選出した記事を用意していますので、参考にしていただけると幸いです。
関連記事:社会人が司法試験・予備試験を目指すならおすすめな予備校【ランキング形式で発表】
学歴などの制限が一切ない(高卒でも弁護士になるチャンスあり)
予備試験には受験資格など制限が一切ありません。
例えば、学歴・年齢・期間制限などは一切なく、誰でも何回でも受験することが出来ます。
一方で、法科大学院の場合には、大学院なのですから当然大学卒業という学歴が必要になりますし、大学に行くということは例えば高校生は無理ということになります。
でも予備試験なら高校生でも受験することが出来ますし、実際に予備試験を高校生が合格したこともあります。
なので、高校生や大学中退など大学に行かずに働いている人は、予備試験ルートからの司法試験の受験を目指すという道があり得るということになります。
※ちなみに、弁護士になるために何が必要になるのか(学歴や費用など)というのは、下記の記事で詳細にまとめていますので、気になる方はそちらを読んでいただけると幸いです。
関連記事:弁護士になるには何が必要?〜学歴・費用・資格・年齢など、どうすればなれるのかまとめ〜
地方に住んでいる人でも居住地を変える必要がない
地方に住んでいる人の場合には、地方のいながらにして学習することもできるというメリットが予備試験ルートにはあります。
上位ロースクールが東京に集中しているため法科大学院ルートだと地理的な制限があるのです。
東京大学、一橋大学、慶應義塾大学、早稲田大学など、司法試験の合格率の高い法科大学院の多くは東京に集まっています。
京都大学や大阪大学など、関西にも合格率の高い法科大学院はありますが、それでも東京都比較するとかなり少ないですね。
東京や関西の他だと受験者数の多い法科大学院も少ないので、法科大学院に進学して司法試験を目指すとなると東京に出てくる人が多いという状況です。
なので、地方にいながらにして司法試験を目指すのであれば、予備試験を受験する方が良いと言えます。
※余談にはなりますが、地方にいる場合の予備校選択としては、「通学講座」よりもパソコンやスマホなどオンラインで学習できる「通信講座」の方がおすすめです。詳しくは下記の記事でまとめているので、そちらを参考にして頂けると幸いです。
関連記事:【法律予備校比較】通信vs.通学〜法律予備校を利用するならどっち? メリットとデメリット〜
予備試験のデメリット
ここからは予備試験のデメリットについてまとめていきます。
受験科目が多くて難易度が高い
予備試験にはここまで説明したようにメリットが非常に大きいのですが、それも全て「合格すれば」という条件付きのものだったりします。
そして、予備試験の一番難しいところが「合格」することなので、それが一番のデメリットということですね。
予備試験の難易度の高さは、例えば試験科目の多さに現れています。
短答試験 | 憲法・民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法・商法・一般教養 |
---|---|
論文試験 |
|
口述試験 | 民事・刑事 |
このように、予備試験には短答・論文・口述という3種類の試験があります。
さらに短答試験は憲法・民法・刑法の3科目で済む司法試験と異なり、憲法・民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法・商法・一般教養という8科目も必要。
論文試験には法律科目に加えて、実務科目や一般教養まで求められる。
このような感じで、予備試験はとにかく試験科目の多いハードな試験になっているわけです。
しかも、それぞれの問題もすごくレベルが高くて高難易度のものとなっていますし、受験者数10,000人以上なのに合格者数が500人以下と合格率もかなり低い試験なのです。
という感じで、予備試験はとにかく合格ハードルの高い試験なので、合格した後のメリットはすごく大きいのですが、その代わりに難易度の高さがデメリットとしてあります。
司法試験を受けられる確実性がない
予備試験は上記のように合格率の低い試験となっていますので、当然ですが何年勉強しても全然合格することが出来ないという人もいます。
なので、法科大学院に2〜3年通って修了するだけで司法試験の受験資格を獲得できるのと比べると、予備試験ルートだと司法試験受験の確実性はかなり劣ります。
法科大学院生の多くは、大学院の授業を受けながらも予備試験も受験していますが、やはりなかなか合格はできませんので、結局は法科大学院をそのまま修了することで司法試験の受験資格を手に入れるということが大半です。
そもそも法曹三者になるには司法試験を受験することが出来なければ土俵に乗ることすらできないのですから、基本ルートとしては法科大学院の修了というのが無難なところかと思います。
勉強は基本的に独学になる
予備試験からの司法試験合格という道一本で考えている人であれば、基本的に勉強は独学で進めることになるでしょう。
多くの予備試験受験生は、法科大学院生のように教授や弁護士による指導を受けられるわけではないので、必然的に独学が中心になると思います。
もちろん、大学で法学部の方や法科大学院に通いながらという方は、そこの授業を通じて学習することが出来ます。
また、予備校に通っている人も、その講座を受けることが出来ますね。
社会人や法学部以外の人にとっては、法律予備校を利用しない限り、自分なりに独学で勉強していくしかないということになります。
前述の通り、予備試験は難易度的に合格が容易ではないので、独学だとかなりきついかもしれません。
予備校の利用はほぼ必須
予備試験の受験となると、その難易度の高さから、法律予備校の利用がほぼ必須になります。
実際に、大半の予備試験や司法試験の受験生は法律予備校の講座を受講していますし、各予備校の合格実績を見ても利用者の多さを知ることが出来ます。
法科大学院のように学者の授業を受ける機会がない予備試験組は、基本的には予備校の講座に頼ることになるというデメリットがありますね。
予備校を利用するとなるの、気になるのは「どれくらい費用がかかるのか」というところだと思いますので、各予備校の予備試験合格講座を受講した際に必要となる費用の目安をまとめておきます。
各予備校の評判等についてもまとめている記事を用意していますので、予備校選びに悩んでいたりする人はぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
法科大学院のメリットとデメリット
法科大学院のメリットとデメリットは、ここまで説明してきた予備試験のメリット・デメリットの裏返しが多いです。
ここまでの説明と重複する部分も多いため、法科大学院のメリットとデメリットについては一覧としてまとめます。ご参考になれば幸いです。
著名な学者から直接講義を受けられる機会がある
自主ゼミ仲間を見つけやすい
法科大学院を卒業さえすれば司法試験を受験できる
(大学院によるが)就活で不利になるかもという不安がある
ロースクールの授業で高度な学習が可能
法科大学院の施設(自習室・図書館・ロッカーなど)を使える
大学卒業という学歴が必要となる
数百万円にもなる学費がかかる
上位ロースクールは東京に集中している
司法試験受験までは数年間の期間が必要
社会人のままだと難しい
予備試験は法科大学院よりメリットが大きいが、かなり難しい
最後にまとめとして、予備試験は法科大学院では得られないメリットがあるのですが、難易度的にはかなり厳しい道のりになる可能性もあります。
なので、一番多くの人が選択する道としては、大学を卒業して法科大学院の進学も狙いつつ、学部や法科大学院で学習している間にも予備試験を受験する、というものです。
本文でも少し触れましたが、結局は法科大学院に進学している人の多くも予備試験を受験します。
それほど「予備試験合格」ということのメリットは大きいということです。
法科大学院には行かずに予備試験からの司法試験受験を目指すのか、法科大学院に進学して司法試験受験を目指すのか。
いずれの選択をするにしても一長一短ありますので、本記事でまとめた予備試験と法科大学院のメリット・デメリットを参考にしながら選んで頂けると良いかなと思います。
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ぜひご覧になって頂けると幸いです。